『Carry1st』アフリカのゲームアプリサービスの先駆者

Carry1stは2018年に3人の起業家(シエラレオネ出身のCordel Robbin-Coker氏、アメリカ合衆国出身のLucy Parry氏、ジンバブエのエンジニアTinotenda Mundangepfupfu氏)によって設立された、アフリカの若年層にゲームアプリを提供するスタートアップである。

彼ら自身がコンテンツを提供するだけでなく、他のゲームを広告する役割も同時に担い、アフリカにおける「No.1 Publisher」としての地位を目指している。

サービス概要

Carry1stが提供しているのは「Carry1st Triva」というクイズゲームのアプリと「Hyper」というミニゲームのアプリである。

Carry1stは「Play. Learn. Earn」(遊び、学び、稼ぐ)をキャッチコピーにしており、ユーザーはゲームで獲得したスコア(成績)に応じて、ゲームコイン(ゲーム内で使える仮想通貨のようなもの)が付与される。

このうちTriviaにはオンラインで対戦する形もある。オンライン対戦では賞金として現金を受け取れるタイプのオンライン大会も開催されている。

企業基本情報

起業家情報

代表:Cordel Robbin-Coker
出身:シエラレオネ
学歴:Stanford University
生年月日または年齢:不明(2008年に大学卒業)

代表:Lucy Parry
出身:アメリカ合衆国
学歴:Dartmouth College
生年月日または年齢:不明(2008年に大学卒業)

代表: Tinotenda Mundangepfupfu
出身:ジンバブエ
学歴: University of Cape Town
生年月日または年齢:不明(2010年に大学卒業)

会社概要

企業価値:非公開
サービス提供国:南アフリカ共和国・ナイジェリア・ケニアほか
(※アプリは全世界でダウンロード可能だが、ユーザー登録時に選べる国籍はこの3か国に限定されている)
従業員数:非公開
ホームページ:https://www.carry1st.com/
推定資金調達額合計:USD400万
住所:122 West 27th Street New York City, NY 10001

事業沿革

  • 2018年7月 アメリカ合衆国やアフリカの合計20ファンドから資金を調達し、事業開始
  • 2019年3月 最初のゲームアプリ「Carry1st Trivia」を南アフリカでリリース
  • 2019年11月 アフリカのアプリコンテスト「The 2019 AppsAfrica Awards」で” Best News & Entertainment Solution”を獲得
  • 2020年4月 「Carry1st Trivia」がケニアと南アフリカで合計150万件のダウンロードを記録
  • 2020年6月 追加で2.5万USDの資金を調達

市場背景

最初の一歩を踏み出したのはRobbin-Coker氏である。彼はかつてニューヨークのモルガンスタンレー投資銀行に勤務しており、アフリカ大陸への投資を担当していた。

彼は現地おけるインターネットとスマートフォンの急激な普及、そして10億人以上の若年層人口がさらに急増している環境に注目し、「若年層向けにゲーム産業を立ち上げられないか」というアイディアに至った。

彼はモルガンスタンレーの同僚だったLucy Parry氏と、かつてコンガのEコマース案件でエンドユーザー向けモバイルの開発に上級職として携わっていたTinotenda Mundangepfupfu氏に声をかけ、3人で事業を立ち上げた。

彼らが最初にリリースしたのは「Carry1st Trivia」というゲーム。南アフリカを皮切りにケニアやナイジェリアで展開した。

Robbin-Coker氏によるとナイジェリアは支払いや情報アクセスの点で難しい市場だが、アフリカ全土を視野に入れる場合は避けて通れないと考えての判断であった。

2020年4月には特にケニアとナイジェリアでGoogle Playのランキングで1位を獲得する大ヒットとなり、両国合わせて130万件をこえるダウンロードを記録した。現在では約25万人のユーザーが日々これらのゲームをプレイしている。

その後彼らは、東南アジアのSea Group(同様にゲームの開発と配信を手掛けているスタートアップ)の手法にならい、アフリカへのゲームアプリ展開を手掛ける他の企業とのタイアップを画策する。

具体的には、「Carry1st Brand Ambassador Program」と称して他社ゲームの広告(動画、メッセージなど)をCarry1stのゲーム内で表示する形である。他社はそれを通じてゲームの広告を行うことができ、Carry1stには広告収入が入るモデルである。

サービス詳細

サービスの使い方・内容

4択クイズ形式のゲームであり、クイズのジャンルは地理・歴史・芸術・スポーツと多岐にわたる。

モードは練習モードとオンライン対戦モードがあり、練習モードでは5問が1つのターンとなり、プレイヤーはクイズの正解数に応じて1~5ポイントを獲得でき、ポイント獲得数の世界ランキングで自分の順位を確認できる。

一方のオンライン対戦モードは”コイン”というゲーム内で使える仮想通貨が存在し、対戦のエントリー時に必要となる。コインは現金で買うか、対戦で高スコアを獲得して手に入れる。

オンライン対戦は2~3時間に1回のペースで開かれ、賞金がコインのものだけでなく、1日に1回ほどのペースで現金が賞金になる大会も開催されている。

プレイヤーの賞金ランキングも公開されており、最も賞金獲得の多いプレイヤーで約20万~35万ナイラ(日本円で約7万~10万円)を稼いでいる。

オンラインを通じて他のプレイヤーとの協力や対戦を楽しむことのできるインタラクティブなゲームである。毎日違うミニゲーム(Carry1stが連携している他社が開発しているコンテンツ)を楽しむことができる。

Hyperでもゲーム内仮想通貨(コイン)があり、Triviaと同じようにゲームの成績で獲得することができる。

ただしHyperの場合は他社のアプリと連携しており、そのアプリをダウンロードすることでもコインを獲得できる。連携先は他のゲームアプリだけでなく、LINEや楽天も含まれている。

今後の展望

Robbin-Coker氏は、これまで世界中でゲームが爆発的にヒットしたようにアフリカ全体でもその波が来ると予測している。

そしてそのためには、各地の潜在需要へ適切にアプローチしていくこと、そして自社がプラットフォームとなって後発企業の触媒として機能することが重要と考えている。

「来年末にはアクティブユーザーを120万人まで増やしていきたい。私たちの使命は、インタラクティブなゲームの文化をアフリカにもたらし、さらにアフリカと世界をつなぐことです。

そのために、マーケティング・流通・収益すべての面で他との差別化を図りながら現地のクリエイターを育成していきたい」Robbin-Coker氏は語っている。

参考サイト:
<https://techcrunch.com/2020/05/27/carry1st-has-4m-to-invest-in-african-mobile-gaming/>
<https://www.forbes.com/sites/tommywilliams1/2020/06/02/meet-carry1st-mobile-games-publisher-that-has-raised-4m-to-catalyze-gaming-in-africa/#6c7feb7e48c3 >
<https://ventureburn.com/2019/12/carry1st-africa-super-app/>

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