Otlobは、東南アジア・アフリカを中心にフードデリバリー事業を営むfoodpanda groupの傘下であり、エジプト内でトップのシェアを誇るフードデリバリーサービスである。
サービス概要
Otlobはエジプト国内で最も早く、簡単に注文ができるデリバリーサービスとして知られている。またOtlobの特徴として残り時間をカウントしたり、Live配信で商品の最新情報がわかる様になっている。
ドイツのインターネット企業であるFoodpanda groupに買収されてから、独自のiOSおよびAndroidアプリケーションを開発し、現在も顧客数を増やしている。
またWebサイトを使用してエジプトの25以上の都市にある2000以上の提携先のレストランから注文をすることが出来る。
企業基本情報
起業家情報
設立者:Ayman Rashed
出身:カイロ、エジプト
学歴:Ain Shams University
年齢:50歳
会社概要
企業価値:不明
サービス提供国:エジプト
従業員数:501-1000名
ホームページ:https://www.otlob.com/egypt
推定年間収益額合計:5億円
事業沿革
- 1999. Ayman RashedによってOtlob設立
- 2000. RashedはITWorx(※1)にOtlobを150,000~300,000 USDで売却する
- 2001. LinkDotNet(※2)に買収される
- 2002.2 A15(※3)にレバレッジド・バイアウト(※4)により、買収される
- 2006. 注文の3%以上の手数料を取り始める
- 2014.12. Accelero Capital(※5)に買収される
- 2015. 世界で有数のFoodpanda group(Rocket Internet) (※6)に買収される
- 2015. Otlobアプリをローンチ
- 2019. Otlobは中東で有数の食品注文ポータルに成長、エジプト国内25の都市にある2000以上のレストランでオーダーが可能
(※1)ITWorxとは
エジプト・カイロにある25年以上続くIT企業
(※2)LinkDotNetとは
1992年に設立されたエジプト国内でインターネットサービスプロバイダ―会社
(※3)A15とは
2002年設立のデジタル製品やテクノロジーブランドに投資する企業
(※4)レバレッジド・バイアウトとは
買収した企業の資産の売却や事業の改善などを買収後に行うことによってキャッシュフローを増加させることで負債を返済していくM&A手法である。少ない自己資本で、相対的に大きな資本の企業を買収できることから、梃の原理になぞらえて「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれる。
(※5)Accelero Capitalとは
エジプト、カイロにある、電気通信会社およびデジタルメディアの投資とマネジメントを行っている企業
(※6)Foodpanda groupとは
東南アジア・アフリカを中心にフードデリバリー事業を営む。ドイツのインターネット会社のRocket Internetの出資先。
引用:
https://www.itworx.com/
https://cloudscene.com/service-provider/linkdotnet
https://www.crunchbase.com/acquisition/a-15-acquires-otlob–c6d06f56#section-overview
http://www.accelerocapital.com/
https://en.wikipedia.org/wiki/Rocket_Internet
https://www.facebook.com/arashed123/about?lst=1185894231%3A559795755%3A1564305930
https://www.linkedin.com/company/otlob-com
https://www.owler.com/company/otlob
設立までの背景
市場背景
1990年代に入って、エジプトでは街に自動車やバイクが増えて交通状況が悪化したことにより、昼食をとるために職場から家に戻ることが困難になり、オフィスでの昼食が当たり前な時代に変化したという。
そこで当時20歳のAyman Rashedはこの時代の変化にいち早く反応を示し、フードオーダーサービス、Otlobを設立することとなる。
ただし、2015年までアプリがなかった事を考えると、Otlobが認知されるまでは相当な時間がかかっていると推測できる。
ECの一般化
またECを含むデリバリーサービスへの一般化が進むと同時に、Otlobの受注量も増えて行った。サービスを開始した当初はECはもちろん、スマートフォンもデリバリーサービスもほぼ皆無に等しかった。
ECを含むデリバリーサービスが普及したことがOtlobが成功した背景としてあげられる。
生活水準の向上
エジプトの生活水準が上がったのもOtlobが拡大した重要な要因である。フードデリバリーは通常バリューチェーンが作りにくい。つまり、顧客は安い業者を選択する。
しかし、生活水準が上がると現在の東南アジアの様に”配送サービス自体”に付加価値を顧客が見出す。つまり、素早く、品質の高いサービスにはその対価を支払うのだ。
このバリューチェーンが構築できない間は、企業として継続をするのが難しい。これがOtlobが何度も買収をされ続けた理由であると考えられる。
Otlobの利用方法
Otlob オーダーの仕方は以下のようになる。
- アプリで自分のアカウントを作成する(名前、住所、携帯電話番号、E-mailアドレス、誕生日、性別)
- オーダーの開始。デリバリー希望の市、エリアを選択。また希望料理のジャンルを選択(例:日本料理、メキシコ料理など)
- 該当のレストランが表示される。 ※オーダーに営業時間外のレストランは“CLOSED”、また稼業中で忙しい場合は“BUSY”と表記されタップが不可。
- タップ可能なレストランのメニューから希望商品を選択後、ショッピングカートに入れる。
- 希望配達先を入力。エリアのマップが表示されるので詳しい配達先を画面上でピンドラッグして選定する。(または登録済みアドレスの入力)
- その他特筆事項、またはクーポンコードがあれば入力
- 支払い方法を選ぶ。Credit,Debit,Cashのいずれかから選択が可能。
- “Place Order”で注文が完了となる。
サービス拡大
顧客対応の向上
現在はオーダー受注から顧客に届けるまで、1時間程度に短縮した。さらに、24時間365日のサポートセンターによるライブチャットを開設しており、ここでも素早く顧客対応ができる体制を整えている。
また各レストランは口コミがあり、5段階の星評価がある。また配送にかかる時間を過去の実績と照らし合わせて平均値を示している。顧客にとっては非常に有用な情報となっている。
またデリバリー料金についてはアプリ上に提示されている金額にデリバリー料金も含まれており、Otlobから顧客に追加配達料金を徴収することはないシステムとなっている。
また現在はアプリ内ではプロモーションが毎日行われている。Otlob限定の割引キャンペーンなども顧客にとっては魅力的である。
ドライバーの教育
デリバリーの品質面においては、2018年にドライバー1,000人に配送の研修を行い、ミスの少ないデリバリーサービスのを実現した。
彼らドライバーは派遣社員としてOtlobに非正規雇用で雇われている(ドライバーを指揮するスーパーバイザーは直接の雇用下にある)
レストラン側への対応
レストラン側 レストラン側への対応にも抜け目がない。現在KFC、ピザハット、マクドナルドなどもOtlobのプラットフォームを利用している。
Otlobは独特のシステムを導入した。“Place Order”を押してから食べ物が届くまでの間のライブ配信を含む最新情報を顧客に提供する様になったのだ。
これは顧客だけでなくレストラン側のメリットも大きい。レストラン側は、最新情報を顧客に伝えることでキャンセルがなくなり、後からクレームになる事が減る革新的な機能であった。
引用:
https://www.marketscreener.com/MCDONALD-S-CORPORATION-4833/news/McDonald-Otlob-launches-its-own-delivery-service-for-more-than-1-500-restaurants-27166316/
今後の展開
現時点でOtlobの自社アプリに対応しているレストラン数は競合他社に比べ、圧倒的だ。しかしUber Eats Egyptとの競合は目が離せない。
他にも、昨年、Algebra Venturesから150万ドルを調達した後、注文と配送に進出した、elmenus.com(※9)や、トゥクトゥクとオートバイを使った、乗り物共有アプリと物流で知られるHalan(※10)などがある。
しかし、Otlobは主に大手のチェーン店などと提携を行なっているのに対して、elmenusは地場のレストランのデリバリーサービスを請け負っている点で住み分けができている。
Halanは、相乗りサービスやその他物流全般を請け負うアプリサービスを顧客に提供する会社で、フードデリバリーの参入はしていない。
スペインの新興企業であるGlovo(注記:11)も以前エジプトに参入したが、業績が振るわず、2019年4月末日でエジプト国からのサービス撤退をしている。
最も競合しているのはUber Eats Egyptだ。現在はカイロの中心部を重点に、主にローカルのレストランをターゲットにしているが、 各社の競争は激しさを増している。
(※9)elmenusとは
毎月200万を超えるフードオーダーがあるプラットフォームを持つスタートアップ企業
(※10)Halanとは
2017年設立の大衆向けに交通サービスを提供しているアプリケーション
(※11)Glovoとは
バルセロナに本拠を置く物流・流通を行っている
引用:
https://medium.com/@motazelewa/fast-food-delivery-startups-in-egypt-d02777998699
https://www.cairo360.com/article/city-life/glovo-egypt-is-sadly-coming-to-an-end/
https://jp.linkedin.com/company/elmenus.com
https://www.linkedin.com/company/halan
https://www.linkedin.com/company/glovo-app