『Hallosolar』未電化地域への太陽光発電システムの割賦販売を行うスタートアップ

HelloSolarはエチオピアの未電化地域への太陽光発電システムの割賦販売を行うスタートアップである。親会社はBelcashである。

サービス概要

HelloSolarは、エチオピアにおいて個人向けのSolar Home System(以下「SHS」)の割賦販売(※1)をおこなっている。SHSとは、小型の太陽光発電パネルと蓄電池に家電(照明、テレビ等)が一式になった商品である。

具体的な商品の例を挙げると、最も高価なセットは太陽光パネル、蓄電池、3つの照明ランプ、携帯電話の充電器、テレビ、ラジオ、衛星放送受信アンテナがセットとなっている。

支払いについては日払い、週払い、月払いから選択することができ、このセットの場合2年以内で25,000ブル(約9万5千円)を支払う必要がある。この支払いを完了すると、その商品は個人のものとして所有することができる。

また、セットは全部で4種類用意されており、最も手頃なセットでは太陽光パネル、蓄電池、照明ランプ、携帯電話の充電器が1500ブル(約5650円)で用意されている。こちらのセットを含めた残り3種類のセットは1年以内に支払いをする必要がある。

商品の支払いには銀行、またはHelloCash(※2)というモバイル金融サービスを利用している。商品は頭金を支払うことで、申し込みフォームに記載した住所に届けられる。

また、支払いが滞った場合にはコントロールユニット搭載されたSIMカードによって遠隔操作で発電を停止するため、料金の未払いや盗難を防ぐことができるようになっている。

(※1)割賦販売とは
商品、サービスの代金を分割で支払う販売方式のことで、支払いの間隔によって週賦・旬賦・月賦・年賦などがある

(※2)HelloCashとは
Belcashが展開するモバイル金融サービスである。携帯電話などのモバイル端末を通じて金融機関の自分の口座から出入金・送金及び支払いを行うことができる。また、多数の銀行やMFIsと連携しており、近くの支店や代理店で金融サービスを利用することができる。

企業基本情報


起業家情報

代表:Mountaga Vince DIOP
出身:フランス(パリ)
学歴:ecole polytechnique de thies(セネガル)で土木工学を学ぶ

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:エチオピア
ホームページ:http://www.hellosolarint.com/
推定資金調達額合計:60万ドル

事業沿革

  • 2018.1.  BelCash,、Shell Foundation,、国際開発庁、アメリカ合衆国国際開発庁、Power Africaの共同プロジェクトとして設立、ソマリア地域を中心に80世帯でSHSを試験運用
  • 2018.8. 約半年間のテスト運用を終え、本格的にサービスを開始

※参照元
http://www.hellosolarint.com/solardarity/articles/HelloSolar-Pioneers-PAYGO-and-International-Remittance-Payment-to-Provide-Affordable-Solar-Home-Systems-in-Ethiopia

設立までの背景

HelloSolarを立ち上げたのはオンラインのビジネスプラットフォームを運営する企業であるBelcashである。ユーザにスマートフォンなどのモバイル端末を使用して金融などの各種サービスを提供する事業を行っている。

エチオピアの農村部では、送電網が存在しないため未電化地域が多く存在する。それらの地域では人口密度が低く、電柱を立てて電線を引いたとしても、引いた先の村には数戸しか存在しないといったことが多くある。

したがって、コストが多くかかるため、電気が普及しにくいといった背景があった。

そこで、BelCashは、HelloCashというモバイル金融サービスと、送電網が存在しない地域でSHSの販売を組み合わせたサービスを提供することで、他国に住む家族などからの送金も可能となり、さらにエチオピアにSHSを普及させることができると考え本事業を立ち上げるに至った。


サービス拡大の秘訣

エチオピアの人口の57%が電気を利用できないため、電力に関する需要は非常に大きくインドとナイジェリアに次いで3番目に大きな市場であった。

そのような送電網が存在しない未電化地域の人々はロウソクや灯油ランプなどに頼って生活をしている。

そのような地域の人々にとってSHSを導入することは多くのメリットがある。まず、照明器具を利用することにより、学生の勉強時間や家事の時間の増加、利便性、安全性、清潔さが確保される。

また、村の市場のような地元企業が夕方以降に営業することができるので、その地域の経済的発展にもつながるのだ。

またSHSを導入することにより、テレビを見たり、ラジオ放送を聞いたりすることで情報を得ることができる。エチオピアの農村地域では識字率が非常に低いといった問題がある。

その改善策として、ラジオやテレビは農村住民の識字率を向上させる手段として最も効果的なものである。そのため、SHSは社会的経済的発展において重要な役割を果たしているといえる。

未電化地域では灯油ランプが照明器具として使用されることが多いが、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NOx)といった微粒子を放出する。

空気中に存在するこれらの汚染物質は肺機能を害し、喘息や癌のような病気のリスクを増加させることが知られている。

そのため、太陽光発電による照明を使用することで、そのような空気汚染を軽減し、健康被害を減らすことができる。

またランプや小型発電機用に貯蔵されている灯油、ディーゼル燃料、ガソリンは火災の原因となり、電力を使用することで安全性が確保される。

SHSは導入後、メンテナンスコストが少なく、市場の値段変動や不足に悩まされる灯油と比較して経済的に安定してエネルギーを供給することができる。

また灯油を購入し輸送するための時間、費用をも節約することができる。それに加えて、前述したように効率的な照明のおかげで、多くの経済的利益を生むことができるのだ。

そして、技術革新のおかげで過去40年間に太陽電池パネルの材料コストは、250倍も減少した。

太陽光パネルのコスト低下は安価なSHSを実現し、未電化地域や電力供給が不安定な地域にさらに普及させることが可能となるのだ。

このようにSHSは、未電化地域の発展に大きく寄与することが分かる。そのため、エチオピア政府は自国の経済を発展させるために、2025年までに350万世帯にSHSを導入するという目標を掲げている。

親会社のBelcashの戦略

親会社のBelcashが行っているサービスはフィンテック(金融とテクノロジーを掛け合わせた造語)と呼ばれている。

Value Added Service (VAS)を行うプロバイダーであり、エチオピアにおいて、ユーザにスマートフォンなどのモバイル端末を使用して金融、雇用、ヘルスケアなどの各種サービスを提供する事業を行っている。

提供するサービスは子会社が事業を行っており、”HELLO ブランド”としてビジネスを展開している。HelloCashやHelloSolarもその1つである。

アフリカでフィンテックが普及している国としてケニアが挙げられるが、これはM-PESAが普及しているため口座保有率やモバイルマネー普及率が高い(それぞれ82%、73%となっている)といった背景がある。

それと比較して、エチオピアでは口座保有率が35%、モバイルマネー講座保有率が0.3%とかなり低い数値になっており他社に独占されていない。

それに加えて、エチオピアはアフリカで第2の人口規模を誇る国であるため、市場の成長ポテンシャルは非常に高いものとなっている。

また、口座保有率の低さもあってかエチオピアでは、太陽光発電システムの販売にモバイル金融サービスを利用するシステムを提供する競合他社が少ない。したがって、HelloSolarのサービスをエチオピアで拡大させることは、Belcashの規模の拡大に繋がると考えられる。

また、HelloSolarでは支払い方法にBelcashのpay-as-you-go(従量課金制)を導入しており、購入者の予算や収入に応じて柔軟な支払い条件を提供することができる。

また、製品のサポートが充実しており、2年間の保障付きで、さらに電話対応でSHS製品だけでなく幅広い技術サポートを受けることができる。このように、エチオピアの農村地帯のニーズを満たすことでHelloSolarはサービスを拡大している。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000621019.pdf
https://www.jica.go.jp/information/seminar/2018/ku57pq00002jduyx-att/20190301_01_01.pdf

今後の展開

HelloSolarは、エチオピアで最初の従量課金制と国際支払いを開拓することで、オフグリッド市場(※4)において世界で3番目の規模を目標とし、他のアフリカ諸国にサービスを拡張する予定である。

また、HelloSolarのサービスが未電化地帯に広く普及することで、BelCashが提供する”Helloブランド”をより多くの人が利用することができる。

そうすることで、エチオピアの人々の生活を格段と良い方向へ導いてくれるだろう。

補足

隣国のケニアでは同じく太陽光から割賦販売を行うM-KOPAがいる。以下を参照。

関連記事

M-KOPA Solarはアフリカ、ケニアの首都ナイロビを拠点とするスタートアップ企業である。M-KOPA Solarは電力が行き届いていないエリアにソーラーパネルの割賦販売(※1)を行っている。[outline]サービス概要[…]

(※4)オフグリッドとは
電力会社などの送電網につながっていない電力システム。太陽光発電システムの利用やご当地電力の取り組みなどについていう。

※参照元

https://allafrica.com/stories/201808210521.html

最新情報をチェックしよう!