『BRCK』IoTソリューション、無料Wi-Fiを用いたプラットフォームを提供

BRCK(ブリック)はケニア、ナイロビに本拠地を持つ通信機器、クラウドサービスを提供するスタートアップである。

サービス提供はアフリカ全土で行われ、電力の安定供給が望めないようなインフラ未整備、資源不足の国においても堅牢かつ信頼性の高いインターネット接続を可能とする通信機器、児童教育用のデバイス、農耕・輸送・水道用水事業に対するIoTソリューション、そして無料Wi-Fiを用いたプラットフォームビジネスを提供している。

サービス概要

BRCKの事業領域は、Connectivity:インターネット接続Education:教育IoT:Internet of Things、そして無料公共Wi-Fiサービスの4つである。

Connectivity領域:supaBRCK

Connectivity領域ではsupaBRCKというバッテリー付きマイクロサーバーを提供する。アフリカの通信技術の発達には目覚ましいものがある一方、電力の安定供給には依然として課題があり、停電のたびにインターネットへの接続が失われ人々の生産性を大きく下げる要因となっている。supaBRCKはこうした停電発生時に瞬時に接続回線を切り替え、ユーザーのインターネット接続を維持する。

※引用元:BRCKホームページより

Education領域:Kio Kit

Education領域ではKio Kitという製品を提供している。Kio Kitには教育の現場に使用可能なタブレット端末が含まれ、Kio Kitの使用により教室はデジタルクラスルームへと変貌する。

IoT領域:picoBRCK

IoT領域ではpicoBRCKという製品を提供しており、ロケーション、温度、湿度、動作(加速度)に関する情報をセンサーで取得し、インターネットを経由して共有することを可能としている。防塵・防水性能を持ち、通信に使用する電力は非常に小さいため単一のバッテリーで寿命は5年と非常に長い。

PicoBRCK Rugged Internet of Things from BRCK on Vimeo.

無料公共Wi-Fiサービス:Moja

無料公共Wi-FiサービスとしてBRCKが提供しているのが、Mojaサービスだ。Mojaを使用する一般ユーザーはモバイル端末からアプリケーションをダウンロードし、簡単な設定と短い広告を見ることでインターネットへの接続が可能となる。

一方で、企業やコンテンツクリエイターにとっては、Mojaサービスは広告を載せる場所、サービスを配置する場所としてのプラットフォームの役割を担う。

企業基本情報

起業家情報

代表:Erik Hersman
出身:ケニア
学歴:フロリダ州立大学
生年月日または年齢:推定30代中盤

会社概要

サービス提供国:アフリカ全土
従業員数:60人
ホームページ:https://www.brck.com/
推定資金調達額合計:$ 4.2M

事業沿革

  • 2014年07月:$1.2Mの資金調達を実施(※注記1)
  • 2015年02月:BRCK販売台数合計1000台を突破、販売先は54ヵ国を突破
  • 2016年01月:$3.0Mの資金調達を実施(※注記2)
  • 2019年02月:ケニアの公共Wi-Fi提供企業Surf、および親会社のEveryLayerの資産を買収(金額非開示)

※参照元:
https://disrupt-africa.com/2019/02/kenyas-brck-acquires-local-wifi-provider-surf/

(※注記1)資金調達元はInvestment Development,、Omvestments、Urban.us、CommonWise LLC、Synergy Growth 等

(※注記2)資金調達元はAOL の元エグゼクティブJean、およびSteve Case、Jim Sorenson氏、TED、MKS Alternative Investments、Synergy Energy等

※参照元:
https://www.brck.com/2018/10/reflecting-on-5-years-of-brck/
https://techcrunch.com/2019/02/15/brck-acquires-isps-everylayer-and-surf-to-boost-africas-public-wi-fi/

設立までの背景

創業者の背景

Erik Hersman:

フロリダ州立大学を卒業後、スワヒリ語で証言、目撃を意味するUshahidiを創立し、SMSなどのデータを収集しイベント情報として可視化するオープンソース技術を開発。(本技術は東日本大震災における津波被害地域特定のためにも使用された)

2010年に起業家、投資家、エンジニア、デザイナーの共同ワークスペースであるiHubというイノベーションコミュニティを設立し、その中で生まれたアイデアをもとに2013年、BRCKを設立。TEDでは上級研究員も務める。

市場背景

新興国では未だにインターネットへのアクセスがない国も存在しており、今後これらの国からインターネットへアクセスする人口は急増し、その数は30億人以上にも上ると見られている。

アフリカでは通信業者自体は存在しているものの、電力の供給不安定などによりインターネットへのアクセスが確保されていない地域が多い。東アフリカ共同体の調査によれば、アフリカの学校の90%、病院の30%がインターネット接続を保有していない状況である。

現在の市場の問題点

アフリカでは電力が安定的に供給されず、日に数度停電が発生する。この停電により通信業者のサービスも停止するため、一般消費者のインターネットへのアクセスは遮断される。

また国ごとに通信の規格や設定が異なっていることがスムーズな連携を阻害している状況であった。

BRCKは、” Connecting frontier markets to the internet.”のスローガンのもと、電力供給の問題、国と国をまたいだ通信回線への接続を解消することで、アフリカの人々、さらには新興国のすべての人々が快適にインターネットへ接続できる環境を目指している。

サービス詳細

BRCKの事業領域はConnectivity:インターネット接続、Education:教育、IoT:Internet of Things、そして無料公共Wi-Fiサービスプラットフォームの4つである。

Connectivity領域:supaBRCK

supaBRCKは100m以内のモバイル端末を自動で認識し、使用可能なインターネット回線のうち最も速度が速いものに自動で接続させる。

負荷分散機能により回線の混雑具合に合わせて自動で回線を切り替えることも可能で、位置情報とクラウドマップを活用することで国別の設定も瞬時に切り替える。

防塵、防水、耐衝撃性能を備えており、アフリカのどんな環境下においても使用できることに加え、バスなどの車両にも搭載できる。

この機能を用いて、後述するMojaサービスは東アフリカのどこでも使用できる無料公共Wi-Fiサービスとなっている。

supaBRCKは単純なWi-Fiルーターではなく、キャッシュやストレージ機能を備えたマイクロサーバーであるため、YoutubeやNetFlixなどの動画情報を内部に一時保存しておくことが出来る。

このため、停電が発生した場合でもキャッシュ、ストレージに一時保存された情報であれば継続的に視聴も可能となり、また停電時でもバッテリーは10時間持つ。

supaBRCKの管理はBRCK Cloudというクラウドサービスから行うことが出来、複雑な回線接続などは不要で遠隔地からの設定、管理も可能である。


※引用元:BRCKホームページより

Education領域:Kio Kit

Kio Kitにはタブレット端末40台、これらの端末を充電する筐体、そしてインターネット接続を提供するsupaBRCKが含まれている。Kio Kitを導入するだけで迅速にデジタルクラスルームを確立することが可能だ。

タブレット端末のバッテリーは一日中持ち、防塵・防水性能を合わせ持つ。すでに17の国を超え、100か所以上で導入が進んでいる。

※引用元:BRCKホームページより

IoT領域:picoBRCK

picoBRCKはロケーション、温度、湿度、動作(加速度)に関する情報をセンサーで取得する。取得された情報はsupaBRCKを介してインターネット上へ展開される。

※引用元:BRCKホームページより

現状考案されている主な活用用途は、以下の3つであるが、picoBRCKはOEMとして様々な企業に展開されており、今後も使用用途が拡大する見込みだ。

  1. 農耕事業での活用:
    畑や農園の土にpicoBRCKを埋め込むことで、土壌成分比率、湿度、温度の情報を自動で読み取り、畑や農園の管理に関わる意思決定を支援しつつ、管理コストを低減する。
  2. 輸送・交通事業での活用:
    車両に取り付け位置情報を取得することで、車両に対するドライバーの割り当てなどを効率化し、ノンストップの輸送・交通を支援する。
  3. 水道用水事業での活用:
    流水量の増減を読み取り、水道管のバルブの開閉に関わる意思決定を支援する。
    流水量に応じて自動でバルブの開閉を行うソリューションも開発中である。

無料公共Wi-Fiサービス:Moja

Mojaは一般ユーザーにとっては無料の公共Wi-Fiサービスであり、企業やコンテンツクリエイターにとっては広告の設置場所、自社コンテンツの提供先としてのプラットフォームとなる。

一般ユーザーがMojaサービスを利用するには、Wi-Fiアクセスポイントを見つけ、Moja Free Wi-Fiにアクセスするだけでよい。ケニアのバスにはsupaBRCKが搭載されているため、バスに乗りながらMojaサービスを使用することも可能だ。

企業、ミュージシャン、出版社などのコンテンツクリエイターはMojaサービス上に各コンテンツおよび広告を配置することが出来る。無料Wi-Fiサービスを通じて得られた一般ユーザーからのアクセス内容はリアルタイムで分析することが出来、キャンペーン活動に利用することも可能だ。

※引用元:BRCKホームページより

※参照元:
https://www.brck.com/iot/

競合について

iWayAfrica, Access Kenya Group、Faibaなどがある。

欧米の既存製品ではなく独自に開発した製品を使用することによるコストの大幅な削減無料Wi-Fiサービス(Moja サービス)をプラットフォームとして提供することによる顧客の囲い込み

サービスの優位性

  • 通信に関わるハードウェア、ソフトウェア双方の技術力により可能となる独自製品の開発
  • 欧米の既存製品を使用しない方針により、必要十分な機能を担保しつつコストを低減
  • パートナー企業との強固な提携。企業、コンテンツクリエイターとの提携による無料Wi-Fiサービス(Moja サービス)の提供、Facebookの通信チームとの提携による高速通信技術の確立
  • Surfの取得に伴い確立した、サブサハラアフリカにおける公共Wi-Fi提供企業としてのNo.1の地位

※参照元:
https://www.forbes.com/sites/tobyshapshak/2019/02/15/kenyas-brck-acquires-surf-to-become-the-biggest-public-wifi-network-in-sub-saharan-africa/#78b0aee96278

今後の展開

低所得者をターゲットとした無料公共Wi-Fiサービスの強化する。メキシコ、インドネシアなどの他新興国への進出、および戦略的パートナーとの提携を行う。

“BRCKは、まず東アフリカにおいて収益力と再現性を備えたビジネスモデルを確立し、その後大陸を超えた展開をするビジョンを描いている。アフリカでは、Mojaサービス(無料公共Wi-Fi)のニーズが確認できたが、ラテンアメリカやアジアも同様だ。今後もさらなる成長を求めて、進出先の各国で適切なパートナーと提携していく。”

” BRCK’s ambitions are to first create a profitable and replicable business model for Africa’s internet users in East Africa, and then expand to other geographies across the continent. We see a need for Moja in Africa, but also in Latin America and Asia. As we grow, we will continue to look for partners in the countries that we are expanding to.”

※参照元:
https://www.forbes.com/sites/tobyshapshak/2019/02/15/kenyas-brck-acquires-surf-to-become-the-biggest-public-wifi-network-in-sub-saharan-africa/#78b0aee96278

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