『Ilara Health』最先端の医療機器を低コストで提供するヘルステック

Ilara Healthはケニアの首都ナイロビで生まれた、ヘルステック系のスタートアップ企業、およびそのサービスの名称である。

サービス概要

Ilara Healthは、都市郊外や地方に点在する中小規模の診療所に対して、AI技術を用いた低コストな診断機器を提供する、ヘルステック系スタートアップ企業である。

基礎的な検査医療の受診すら困難な医療難民を多数抱えるアフリカにおいて、Ilara Helthが提供する安価なポータブル検査機器は、プライマリ・ケア(※1)領域における医療サービスの向上に貢献している。

提供された診断機器は、Ilara Healthが管理する医療プラットフォームを介してそのすべてがリンクしており、効率的に患者の情報を取得し、カルテの管理ができるシステムとなっている。

2019年の設立以来、ナイロビ郊外を中心に、100を超える中小規模診療所や医療センターと協力体制を確立しており、診断機器や医療プラットフォームサービスを提供した実績を持つ。

Ilara healthの活動によって、低価格な各種検査の実施が可能となり、近郊の住民が受けるプライマリ・ケアの質の向上に貢献している。

※1プライマリ・ケア
用いられる場面によって定義は異なるが、ここでは「地域に根差し、予防医療から初診まで、幅広くケアする総合医療」のことを指す。日本においては、総合診療医が担当する領域である。

基本情報

創業者情報

名前:Emilian Popa
出身:不明
学歴:Columbia Business SchoolにてMBA取得
生年月日:不明

略歴:
アフリカ、アジア、中東、ロシアで、20を超えるテック系ベンチャーを立ち上げた経歴を持つシリアルアントプレナー兼投資家。ヨーロッパやアメリカ、アフリカの大手コンサル企業で戦略コンサルティングを手掛けた経歴を持つ。

会社概要

会社名:Ilara Health
代表者:Emilian Popa
本社:ナイロビ、ケニア
サービス提供国:ケニア共和国
設立:2019年1月
従業員数:~10名
企業価値:不明
推定資金調達額合計:US$735,000
ホームページ:https://www.ilarahealth.com/

  • 2019年1月:ケニアの首都ナイロビで創業
  • 2019年8月:シードラウンドでUS$735,000を調達
  • 2020年6月:Google for Startups Accelerator Africa(※2)の第五弾において20企業の一つとして選出
  • 2020年6月:オーストラリアの大手ヘルステック企業『ResApp Health』との協業を発表。同社が提供する呼吸器疾患診断アプリの評価テストを、今年度第3四半期に実施予定。

(※2)Google for Startups Accelerator
AI技術を活用した有望なスタートアップ企業に対し、Googleによる技術支援や運営サポートなど、幅広い分野での支援を提供するアクセラレータープログラム。

※参考元:
https://www.crunchbase.com/organization/ilara-health#section-overview
https://ventureburn.com/2020/06/20-startups-selected-for-google-for-startups-accelerator-africa/

市場背景

アフリカでは、慢性的な医療リソースの不足が深刻な問題となっており、単純な血液検査の受診すら困難な医療難民が、5億人規模で存在するといわれている。

こうした背景にはいくつかの理由があるが、最も一般的な理由として、中小規模の診療所には高額な検査機器や医療設備へ投資するための資金がない事が挙げられる。

患者の症状から病名を特定する場合、血液検査等、何らかの検査を必要とする割合は約7割といわれている。

例えば基礎的な検査機器である血液分析装置の価格帯は、およそ7,000ドル。サハラ以南のアフリカにおけるほとんどの医療施設、特に農村地域の診療所において、このような高額設備を導入する、予算的な余裕はない。

アフリカの診療所が抱える経済的背景に着目した、代表のPopa氏は、ポータブル診断機器のメーカーと提携し、ナイロビ近郊の診療所を中心に、安価な価格帯の検査機器の提供と普及に取り組んでいる。

Ilara Healthの提供する検査機器は、感染症だけでなく、糖尿病や高血圧などの非伝染性疾患の診断にも対応している点も特長の一つである。

ケニアの成人男性の20%は、糖尿病、高血圧、心血管疾患などの非伝染性疾患をかかえるというデータがあり、今後これらの疾患に対する治療の質向上が期待されている。

サービス詳細

クラウド上における患者データの管理と共有

Ilara Healthの診断機器に搭載されたソフトウェアは、患者の既往歴や受診記録をクラウド上で管理している。

このシステムにより、医師がカルテ情報などの事務処理に割く時間を削減するだけでなく、別々の診療所が、同一患者の情報を簡単に共有することを可能にした。

Ilara Healthの機器を使用する診療所が、新規患者の既往歴にアクセスする場合、過去に受診歴のある医療施設に対して、閲覧許可を申請する。

申請後、患者はSMS通知によって閲覧許可申請を受け取り、診療所に対して閲覧許可を出す。

権限のない人物がデータにアクセスすることを防ぎ、プライバシーの保護を確保しつつ、迅速に個々の患者のデータベースを共有することができる。

長期的には、データベースを利用した、受診後の患者に対する健康管理や予防医療に対するフォローアップメールなどにも対応し、アフリカ全体における、医療提供のポータブル化を目標として掲げている。

画期的な支払いオプションによる初期費用の削減

Ilara Healthでは、検査機器の低コスト化だけではなく、特徴的な支払オプションによって、機器導入の初期投資を抑える仕組みを提供している。

従来の検査機器と比較した場合、数分の一程度の価格帯にまで低コスト化を実現したが、それでも、多くの診療所にとって簡単に導入できる価格ではない。

そこで、Ilara Healthでは、支払い管理と代金の回収方法へも注力している。

機器の導入を検討する医師は、まず総額の10~20%を初期費用として支払い、残高は24か月間のローンによる決済が認められている。

提供した機器は独自のプラットフォームに接続されており、医師が定められた期間内に支払いを行わなかった場合、遠隔で機器の機能を停止することが可能。この遠隔操作システムにより、支払の管理を行う。また、リース契約による機器の提供にも対応している。

革新的な支払システムにより、予算の無い中小規模の診療所においても、数百ドルのわずかな初期投資によって設備を導入し、将来の収益を倍増することが実現可能となった。

また、知識や技術が十分でない医療関係者に対して、追加費用なしで機器の使用方法についてのトレーニングも実施している。

Ilara Healthは、中小規模の診療所に対して持続可能な収益モデルを提供することで、アフリカにおける診療所数の増加と、医療行為の質向上を目指す企業である。

※参考元:
https://www.howwemadeitinafrica.com/how-ilara-health-found-a-way-to-sell-healthcare-devices-to-informal-clinics-in-kenya/66841/?fbclid=IwAR0BBFEqLzrQIiT2cA-DxEaxBtDt9UNPsa-YEs9EhJvdgW2vLj-l8yAJfRI

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