『Angle Dimensions』複数人で共同の銀行口座を持つ人々へアプリKhusaを開発

Angle Dimensionsはマラウイのスタートアップ企業である。同社は、マラウイではよくある複数人で出資し、必要としている人が融資を受けるという共同体の中で行われる私的なローンに着目した。

アプリを使ったデジタルウォレットを通して共同の資産を管理するアプリの開発・運用を行なっている。

サービス概要

Angle Dimensionsはテクノロジーを用いて金融ソリューションを提供するスタートアップ企業である。同社が開発したアプリ『Khusa』は、複数人で共同の口座を持つ人々にデジタルウォレットを提供する。アプリ上で口座の取引履歴の確認や、共同体のメンバー間でチャットも行えるサービスだ。

マラウイでは、複数の農民が集まって自発的に組織される貯蓄・貸付スキームが広く浸透している。公的機関やマイクロファイナンスを利用できない人々は、共同体の中で融資し合うのである。毎週あるいは毎月開かれる集会において資金を出し合い、資金を必要としている人に利息付きで貸し出す仕組みだ。

このような私的な融資は、従来は現金を用いて行われていたが、デジタルウォレットで管理できるようにしたがAngle Dimensionsのアプリ『Khusa』である。個々人の銀行口座とも接続しているため、支払いや送金も遠隔地で行うことができる。融資が定着した共同体は都市部から離れた地域に多く、銀行に足を運ばなくても資金を動かせるデジタルウォレットは田舎の人々のニーズによく合っている。

以上の通り、Angle Dimensionsが開発したアプリ『Khusa』は、マラウイの農民たちの生活を便利にするサービスである。キャッシュレスサービスのため、現金を持ち歩くリスクも下がる副次的な効果も生まれ、ユーザーが拡大している。

Khusa Mobile App

Khusa App just got nominated for the World Summit Awards as the most innovative solution in Inclusion & Empowerment from Malawi.

Angle Dimensionさんの投稿 2018年9月25日火曜日

企業基本情報

起業家情報

代表:Sokwani Nathan Munthali
出身:マラウイ
学歴:National College of IT 卒業
生年月日または年齢:不明

会社概要

サービス提供国:マラウイ
従業員数:不明(Linkedinには12名加入、11〜50名の規模)
ホームページ:http://www.angledimension.com
推定資金調達額合計:不明

事業沿革

  • 2016年、ITエヴァンジェリストのBram FudzulaniとSokwani Nathan Munthaliの2名により会社創立
  • 2018年、同社の主力アプリ『Khusa』が情報社会世界サミット大賞 (※注記1)においてマラウイのベスト・デジタル・ソリューションに選出される
  • 2019年、マラウイ準備銀行(※注記2)に、デジタル金融サービスの推進を目的にライセンスを申請中
  • 2019年現在、アプリ『Khusa』を利用している農村は50以上に上る

(※注記1)デジタルコンテンツとアプリケーションで世界を代表するスタートアップ企業を選ぶ国際的なアワード

(※注記2)マラウイの中央銀行

市場背景

Angle Dimensionsのアプリ『Khusa』の利用が拡大している背景は主に3点が挙げられる。1つめは、多くの新興国と同様、マラウイは現金の盗難リスクが高いため、盗難防止に有効なデジタルウォレットが歓迎されたということだ。

2つめは、共同体の内部で自発的に融資をする仕組みが、マラウイでは広く浸透している点である。この点は、サービス概要の項目でも述べた通りだ。複数人が出資した資金はトウモロコシを栽培する化学肥料の購入などに充てられ、利息をつけて返される。

知り合いどうしの狭いコミュニティーでの資金の貸し借りとなるため、借主は全額返済する確率が高いことが知られている。『Khusa』が貸し倒れにくい比較的安全なローンを対象としたアプリであることも、ユーザーが拡大した背景として押さえておきたい。

3つめは、Google Playストアからダウンロードし、登録するだけで使える簡単さだ。既に共同体のアカウントがあれば加入するだけなので、新規登録の手間はほとんどかからず、利便性が高い。

以上の通り、現金を保有するリスクと、私的な融資が浸透している文化の2つの要因があった上に、新規登録が簡単という利便性が重なり、『Khusa』は広く受け入れられている。

サービスの今後

Angle Dimensionsは、『Khusa』をローカルな共同体の中で使うアプリから、公的金融機関のサービスでも使えるアプリに拡張することを計画している。

事業沿革で述べた通り、同社はデジタル金融サービスの推進を目的にマラウイ準備銀行のライセンスを申請中である。事業範囲を公的金融機関に広げるため、ライセンスの取得を計画していると見ることができる。

デジタルウォレットの仕組み自体は難解ではないため、Angle Dimensionsの後追い企業が出てくる可能性は高い。類似のサービスが登場する前に、マラウイ準備銀行のお墨付きを貰うことが、同社にとって重要な目標となるだろう。

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