『Hooplacar』自家用車を用いたモロッコ発の移動型広告サービス!運転するとお金が貰える

Hooplacarとは、モロッコで展開する個人の自家用車を利用した屋外広告スタートアップである。今や、6500人以上の運転者が登録され、モロッコ国内の20都市以上において展開されている。

サービス概要

Hooplacarが展開しているのは、広告掲載料と引き換えに自家用車に広告を事を申し出るモロッコ市民と広告主を一致させる、屋外広告サービスである。

一般市民が運転することでお金を稼ぐことができるビジネスモデルを確立させたのだが、このサービスの恩恵は市民のみに限られているわけでは決してない。

広告主はこのサービスによって、ある場所に固定された看板に対して広告掲載料を支払うのではなく、車という手段を用いて広告を移動させる事が可能になる。さらに、広告枠の供給を増やすことで広告費用が減少し、より多くの小規模企業が広告を掲載できるようになる。

企業基本情報

起業家情報

代表:CEO兼共同創始者Salmane Berraoui(Jounaid Anasseは共同創始者)
出身:フランス
学歴:Emlyon business school(2005-2009)
年齢:33歳(2019年時点)

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:モロッコ
従業員数:~10人
ホームページ:https://www.facebook.com/pg/hooplacar/services/
推定資金調達額合計:不明

事業沿革

  • 2016.2  モロッコのカサブランカで設立
  • 2017.10 Seedstars(※1)World Summitのモロッコ国内とMENA地域(※2)内の大会で優勝でし、MENA地域(※2)に事務所を持つ大手法律事務所Al Tamimi&Companyから$4000相当の法律サービスを授与される。
  • 2018.4 Seedstars World Summitローザンヌ世界大会(※3)でファイナリストに選ばれる。

(※1)75を超える国々によるコンペティションを通じて新興国のスタートアップ企業に最大100万ドルを投資するスイスの団体。

(※2)中東・北アフリカ地域の国々を指す略称でMiddle East & North Africaの略。 主に、サウジアラビア、UAE、クウェート、オマーン、カタール、バーレーン、トルコ、イスラエル、ヨルダン、エジプト、モロッコの11カ国を指す。

(※3)75を超える国々によるコンペティションを通じて新興国のスタートアップ企業に最大100万ドルを投資するスイスの団体Seedstarsが開催する世界大会。

参照元:
http://disrupt-africa.com/2017/10/advertising-startup-wins-seedstars-morocco/
https://ventureburn.com/2018/06/morocco-innovative-hooplacar-portugal/

サービス詳細

車に広告を貼り付ける運転手をその個人の性質に基づいて選定し、報酬と引き換えに車に広告を掲載する。反対に、広告主は広告掲載車に搭載されているGPS機能、Hooplecarのデジタルアプリケーションを用いて、それぞれ位置とROI(※4)を測定・分析する事が出来る。

(※4)投資した資本に対してどれだけの利益を得られたかを表す指標の事で、投資によって得られた利益額」÷「投資額」で計算することができる。ROIはReturn on Investmentの略称で、投資対効果と呼ばれる事もある。

広告を掲載する事が認められる運転手の条件

運転手は日常の運転圏や運転距離等を事前に登録し、その上で広告主がターゲットとする運転圏において運転する運転手の車に広告を掲載する事が認められるのであるが、以下に具体的な4つのポイントを提示した。

使用している車が使用してから5年以下である事

安全を担保するため、使用期間に上限が設定してある。
Hooplacarでは、掲載した広告がはっきり見れるよう毎週無料の洗車サービスを提供している。

走行距離

走行距離が長いという事は、それだけ車体に貼った広告が多数の人々の目に入る訳である。
目安としては、1日35キロ以上。広告掲載期間中に広告掲載車が宣伝効果を与える人数は都市によるとしても、平均して20万~30万人にのぼるという。

模範的態度

広告掲載を依頼する代表者と同じように、広告掲載車の運転手もその態度・性質に基づいて厳格に選出される。その際に用いるのは、政府が公表する個人のデータであるのだが、この一連のフェーズを経て宣伝活動の安全性が保障されるのである。

モチベーション

広告掲載車の運転手はそのパフォーマンスによって評価され、報酬が支払われる。主な判断基準としては走行距離や走行地区が挙げられる。また、一度目に高く評価された運転手は二回目以降も起用されるシステムになっている。

運転手は広告を車に掲載したままの状態で日常生活を送るだけで、月あたり約$100~150の報酬が得られるという。

広告主に生じる利益

広告主は屋外広告費用の削減という意味でまず大きな利益を得るのであるが、本サービスのメリットはそれのみではない。

ROI最大化への努力

Hooplacarは、広告主と市民をとりつなぐだけではなく、広告主がターゲットにおいている顧客に効果的な宣伝が出来るように広告主とともROIの最大化に取り組んでいる。

モニタリング

GPSとアプリケーションの搭載により、常時、広告掲載車の位置情報とROIを確認することができる。KPI(※5)にアクセスする事も可能であり、この要素は広告主の効率的な事業の展開に寄与するであろう。

(※5)Key Performance Indicatorの略称。重要業績評価指標とも呼ばれ、ビジネスの最終目標を達成するために、途中の過程で達成すべき指標の事を指している。

相乗効果

ストリートマーケティングからデジタル上のものまで、広告主の宣伝活動を汎用性高くHooplacarがサポートする事が可能である。その可能性と相乗効果は計り知れない。

※参照元:
https://www.hooplacar.com/how-it-works

設立背景

問題意識

従来の広告代理店を媒介した形の屋外広告の設置にかかる費用は高く、中小企業は屋外広告を設置する事に高いハードルが存在していた。屋外広告を設置したとしても、その掲載料に見合うほどの宣伝効果を得ることが難しく、KPIが低い状態であった。

打開策としてのHooplacar

上記の問題点を解決をするために生み出されたのが、今回のサービスである。

市民の使用する車に広告を掲載し、コストを低くかつ宣伝効果を高くする。すると、本サービス利用者の広告主のKPIを上昇させることにつながり、またその広告枠が増加するにつれて広告掲載料はさらに低下する。

結果的に、今まで屋外広告を設置する事ができなかった中小企業もその宣伝活動に参加することができるようになるのである。

今後の展開

Hooplacarの活動は、MACエージェンシーCOMとの独占パートナーシップを締結することによって、オリエンタル地方(※8)にまで及んでいる。ますますサービスを拡大させるHoopclarであるが、その国外進出もそう遠くはない話である。

現在、モロッコを含むアフリカ・中東地域では車の稼働率が上昇(※9)しているという。また、つい最近サウジアラビアで女性の自動車運転が認められたように、自動車利用者が増加しているのも事実である。

車の稼働率が上昇している社会において、車を広告として利用するこのサービスは、広告費の削減を実現し、同時に企業は他項目により多くの資産運用が可能になる。結果的に、それは市民への供給コストの低下にもつながる。

市民と広告主がともに利益を得ることを可能にするHooplacarは、現在経済的・社会的急成長を遂げるモロッコにおいて、その魅力を存分に発揮し、モロッコの社会を豊かにしているのだ。

そして、それはモロッコと同様に進展を遂げる他新興国にも当てはまるだろう。車を通して市民と広告主を一体化させる。Hooplacarのその試みは、モロッコから他国へと広がっていく。

(※8)モロッコ北東部の地方で首府はウジダ。

(※9)特にアフリカ地域における自動車市場の活性化は著しく、アフリカ自動車市場規模は、2025年には現在の2倍になるといわれている。

※参照元:
https://response.jp/article/2016/09/16/281951.html
https://www.crunchbase.com/organization/hooplacar#section-overview
https://ventureburn.com/2018/06/morocco-innovative-hooplacar-portugal/
https://www.arabnet.me/english/startups/hooplacar

メモ書き:東南アジアの同業他社Flareとの比較

車を広告として利用するサービスを提供する同業他社に、タイでサービスを展開するFlareがある。Flareについては過去の記事で取り上げているので詳細は下記で確認してほしいが、車を利用した広告がなぜ社会で広まるのか、その背景には何等かの通底要素が存在するのかについて、二つの企業と企業の展開国であるモロッコとタイの社会を比較しながら検討してみたい。

社会への浸透力

Hoopclarに登録している運転手は6500人、対してFlareに登録している運転手は15000人以上である。単なる数値で比較すると圧倒的にFlareの方が多い。

しかしタイの国内人口がモロッコの約2倍(※7)である事を考えると、両企業の国内社会への浸透率は同等のものとして考えてよいだろう。以下、これを前提にして話を進めていく。

モロッコとタイの国内社会の比較

まず、モロッコとタイの車所有率ついて最新の2010年のデータを用いて比較する。モロッコは2007年の最新データによると7.1%。対してタイは13.4%(2006年)。ややタイの方が多い結果となった。

次に両国の経済レベルを比較する。比較水準として、今回は国民一人当たりのGDPを利用することにする。モロッコは$3151(2017年)に対して、タイは$6033(2016年)であった。

数値のみに注目するとタイの方が圧倒的に多いが、これを対一人当たりのGDPとして、広告をすることでの報酬量で検討してみる。

報酬量はモロッコは企業の公式ホームページに記載されていた月あたり100~150ドル、タイは送って頂いたリンクに記載されていた月あたり100~170ドルとほぼ同じだ。

すると、モロッコの場合は39~57%、タイの場合は20~25%となる。相対的にはモロッコの方が報酬量が多いことが分かる。

それでは、両国をGDP成長率をもとに比較するとどうなるであろうか。モロッコ4.09%(2017年)なのに対して、タイは4.02%(2017年)と非常に近接した値である。

共通点を模索

以上の比較結果をもとに、両者の企業の拡大背景を検討してみたが、これと言った共通点がなく、まだまだ探る必要がありそう。

今回は二国のみの比較であったので確実性が決して高いとは言えないが、一定程度かそれ以上のGDP成長率を有する国において本サービスが展開されやすい可能性がある、という事は分かった。

(※7)
モロッコの国内人口を3574万人(2017年)、タイの国内人口を6904万人(2017年)とした。

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