『MAX』正確な地図がないラゴスで商品を3時間で届けるバイク配送サービス

MAX(Metro Africa Xpress)は、ラゴスに拠点を置くバイク配送サービス企業である。ラストマイル配送といわれるアフリカ地域の中で、異例の速さで商品や人を配送している。

MAXのサービスは、現在急成長中であるアフリカの電子商取引市場を支えている。また、バイクドライバーという雇用の創出により、貧困や就職難といったナイジェリアの社会問題にも貢献している。

サービス概要

MAXが開発した「MAXアプリ」は、MAXが抱えるバイクドライバー(通称チャンピオン)とeコマースサイトを結び付けて、3時間未満で商品を消費者へ配送することを実現する。

ラストマイル配送といわれるアフリカは、配送に4日かかるのが普通だ。なぜならアフリカには住所システムがなく、配送先を特定するのが困難だからだ。

そのようなアフリカで、3時間で配送する秘訣はMAXが開発したMAXアプリにある。MAXアプリは独自のシステムにより、消費者が商品を注文するとリアルタイムで最寄りのバイクドライバーに通知が届くようになっている。

最寄りのバイクドライバーは土地勘があるため、スムーズに配送することができる。そして配送先の位置をMAXのシステムに登録することで、2回目以降の配送はさらにスムーズに行うことができるのだ。

また、配送以外にタクシーとして利用することもできる。

※引用元:MAXホームページより

※参照元:
https://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2016/04/01/469980392/neither-rain-nor-snow-nor-lack-of-address-will-stop-these-deliverymen

企業基本情報

起業家情報

代表:Adetayo Bamiduro
出身:不明
学歴:マサチューセッツ工科大学 MBA取得
生年月日または年齢:不明

代表:Chinedu Azodoh
出身:不明
学歴:イリノイ工科大学 コンピューター工学・電気工学 理学士号取得
マサチューセッツ工科大学 金融修士号取得
生年月日または年齢:不明

※参照元:
https://techpoint.africa/2015/09/15/max-mission-transform-urban-logistics-across-africa/

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:ラゴス
従業員数:11~50
ホームページ:https://max.ng
推定資金調達額合計:810万ドル

※参照元
https://www.crunchbase.com/organization/max-2#section-overview

事業沿革

  • 2015年8月1日  MAX(Metro Africa Xpress)設立
  • 2015年9月1日  シードラウンドで資金調達 調達額非公開
  • 2015年9月29日 Amadeo Brenninkmeijer(※1)とRight Side Capital Management(※2)から10万ドルの転換社債を調達
  • 2016年3月29日 ベンチャーラウンドで100万ドルを調達
  • 2016年9月29日 Easy Appetite(※3)を買収 金額非公開
  • 2019年6月14日 ベンチャーラウンドでヤマハ発動機他から700万ドルを調達

(※1)Amadeo Brenninkmeijerとは
ロンドンの起業家兼シード投資家

(※2)Right Side Capital Managementとは
サンフランシスコのシード投資会社

(※3)Easy Appetiteとは
ナイジェリアの食品配送会社

※参照元
https://crunchbase.com/organization/max-2#section-funding-rounds
https://techcrunch.com/2019/06/20/max-ng-raises-7m-round-backed-by-yamaha-and-pilots-evs-in-nigeria/

設立までの背景

創業者の背景

共同創業者のAdetayo BamiduroとChinedu Azodohは、マサチューセッツ工科大学で出会った。

二人は、住所のないラゴスでの配送は難しく、遅延が多いことに問題意識を抱いていた。そこで、自分たちの技術力を活かしてこの物流の問題を解決しようと考えた。

それとともに、ナイジェリアの大きな社会問題である「貧困」や「若者の失業率の高さ」にも貢献しようとした。そうして生まれたのがMAXである。

※参照元
https://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2016/04/01/469980392/neither-rain-nor-snow-nor-lack-of-address-will-stop-these-deliverymen

市場背景

アフリカの人口は10億人で、その数だけ潜在顧客がいるとも言える。既に現在アフリカのインターネットユーザーは4億人と、中国に次いで2番目の数字だ。

国際通貨基金によると、ナイジェリアはアフリカ最大の経済と人口を誇り、ガーナとコートジボワールは世界で最も急速に成長している経済圏の2つである。

アフリカ最大のeコマース企業の一つであるjumiaは、2015年の9か月で2億6000万ユーロの売り上げをあげた。

これは前年比265%で、アフリカの電子商取引市場が急上昇しているということを象徴している。

コンサルタント会社のMcKinsey Global Instituteは、2025年までにアフリカの主要経済圏で電子商取引市場が750億ドルになると予測している。

※参照元
https://www.mckinsey.com/featured-insights/middle-east-and-africa/how-ecommerce-supports-african-business-growth
https://af.reuters.com/article/topNews/idAFKCN1TD10L-OZATP

問題点

急成長中の電子商取引市場を妨げる恐れがあるのが「物流」だ。アフリカはラストマイル配送と呼ばれ、遅延が多いことで有名だ。

その原因は、アフリカには住所システムがないということにある。誰かに住所を伝えるときは「青い建物の前」というように、おおまかな位置を伝えるしかない。

これでは配送者が配送先を特定するのが困難であり、遅延や誤送が起きる。実際に、ナイジェリアの配達の50%が遅延しているというデータもある。

※参照元
https://www.mckinsey.com/featured-insights/middle-east-and-africa/how-ecommerce-supports-african-business-growth
https://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2016/04/01/469980392/neither-rain-nor-snow-nor-lack-of-address-will-stop-these-deliverymen

サービス詳細

利用方法

App StoreやGoogle PlayでMAXアプリをダウンロードする。MAXアプリに希望の集荷時間、荷物サイズ、集荷および配送先の住所を入力して注文ボタンを押すと、希望の時間にドライバーが荷物を集荷しに来てくれる。

利用料金

料金は集荷先と配送先の距離、および配達速度によって決まる。距離に基づく料金は1km毎に65ナイラ(日本円で約19円)で、ナイジェリアの最低配送料だ。配達速度は即納と同日の二種類から選択できる(詳細料金不明)。即納は集荷時間から3時間、同日は5時間以内に配達される。合計料金は自動計算され、注文ボタンを押す前に最終確定料金が表示されるので安心だ。

支払方法

現金での代金引換、銀行振込、モバイルPOS、または企業のPINで支払うことができる。代引の場合は集荷に来たチャンピオンに現金を預ける。

※参照元:
https://max.ng/pricing
https://max.ng/faqs

競合について

Gokada

https://gokada.ng
ラゴスに本社を置くバイク配送サービス企業である。2017年設立と、MAXより2年後発だ。2019年に世界的な投資企業であるRiseCapital等から560万円の資金調達を行った。

アフリカにはもともとokadaという有名なバイクタクシーが存在する。しかしokadaは、乗客や輸送品の安全を保障しないずさんなサービスとしても知られている。

そのため、顧客に安心安全なサービスを提供しようと、ラゴスには近年複数のバイク配送サービス企業が設立されてきた。これらの企業は、どの企業もアプリを使って最寄りのドライバーを呼び出すという同じようなシステムである。

その中でも、MAXとその競合であるGokada の2社に共通する優位点は、バイクを所有していなくてもドライバーになることができるという点だ。
他の企業は、ドライバーになるための条件としてバイクの所有があげられている。

しかし、この2社は先にドライバーにバイクを付与し、その後分割払いでバイク代金を返済させるという形をとっている。そのため、バイクを持っていない人でも事前に高額なバイクを購入する必要なくドライバーになることができる。

自分専用のバイクを手に入れることができるという点は、ラゴスの人々にとって魅力的だ。

MAXの優位性

配送スピード

MAXの最大の優位性は配送時間の速さである。同日配送でも5時間、即納配送に至っては3時間以内の配送が保証されている。

これは、チャンピオンと配送依頼をリアルタイムで結びつけることができるMAX独自のシステムによって実現されている。

また、MAXはeコマース事業者だけでなく、一般的な中小企業や企業にも配送サービスを提供している。

企業等が大量注文を行う場合は、距離ベースではない独自の価格が適用される。

※参照元
http://sundayadelajablog.com/max-brings-game-changing-ideas-from-mit-into-africas-logistics-industry/
http://sundayadelajablog.com/max-brings-game-changing-ideas-from-mit-into-africas-logistics-industry/
https://max.ng/pricing
https://qz.com/africa/1628649/lagos-motorcycle-startups-gokada-max-safeboda-fight-for-market/

企業文化

MAXの主な優位性は、上記であげた配送速度と企業提携である。

それに加えて、MAXは独自の企業思想を持っている。それは、MAXは他のナイジェリア企業とは異なり、労働者(チャンピオン)をビジネスの中心に置いているということだ。

MAXはチャンピオンに、一般的な町のバイク派遣サービスの給与の2倍(月に約200ドル以上)を報酬として支払っている。

さらに、チャンピオンは安全運転訓練や健康保険、節約方法に関するワークショップを受けることができる。

MAXの創業者は、MAXで働くチャンピオンにはMAXで手に入れた報酬を貯めて、大学の学位を取りホワイトカラーの仕事に就くことを推奨している。

このように、MAXは営利企業としての側面だけではなく、貧困や就職難といったナイジェリアの社会問題に取り組む社会的な側面も持っている。

※引用元:MAXホームページより

※参照元:
https://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2016/04/01/469980392/neither-rain-nor-snow-nor-lack-of-address-will-stop-these-deliverymen

今後の展開

今年中にガーナ、コートジボワール、そしてナイジェリア内で4番目の都市に進出し、合計20,000人の雇用(チャンピオン)を創出する予定だ。

そして2020年半ばまでに200万人にサービスを利用してもらいたいと考えている。

また、MAXアプリを単なる配送サービスアプリではなく、電子決済から保険までのサービスをワンストップで提供するアプリに変えることを検討している。

これは、インドネシアのGo-JekやシンガポールのGrabと同様の戦略だ。Go-Jekは、バイクタクシーから始まり総合サービス業に発展したジャカルタの企業である。

この企業と同様に、MAXは食べ物、美容師、マッサージ師の派遣等、様々な形態の配送サービスに取り組んでいきたいと話している。

※参照元:
https://af.reuters.com/article/topNews/idAFKCN1TD10L-OZATP
https://weetracker.com/2019/06/14/maxng-raises-funding-for-bike-business/

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