pagaはナイジェリアのスタートアップである。
サービス概要
ナイジェリアでは金融サービスがすべての市民にとって簡単に利用できるものではない。しかし通信業は発達しており、すべての市民が簡単に利用できる。そこで生まれたのがpagaというサービスだ。
これはナイジェリアで発達しているモバイル決済システムサービスであり、通信と金融を結び付けた便利なサービスである。多くの市民が活用しているスマートフォンを用いて基本的な金融取引が可能。
このサービスはインターネットアクセスがない状態でも利用可能であり、スマートフォンアプリ、ウェブサイト、などから利用できる。
企業基本情報
起業家情報
代表: Tayo Oviosu
出身: ナイジェリア ラゴス
学歴: 南カリフォルニア大学 電気工学 理学士 取得
スタンフォード大学ビジネス大学院 経営管理 修士 取得
生年月日または年齢:1977年生まれ
会社概要
企業価値:不明
サービス提供国:ナイジェリア
従業員数:約17000人
ホームページ:https://www.mypaga.com/
推定資金調達額合計:34.7M (2018.9)
事業沿革
- 2009年初頭 会社設立
- 2012年3月 EFInAからUS$2mの助成金を確保
- 2012年8月 サービス開始
- 2013年9月ナイジェリアの大手オンラインバスチケット事前予約サービスと提携を結ぶ
- 2013年11月 ナイジェリア最大のオンライン小売業者のJumiaと提携、ユーザー数100万人突破
- 2014年3月 ウエスタンユニオン社(※1)と協力し、モバイル送金ネットワークを拡大
- 2015年11月アフリカンアントレプレナーシップ受賞
(※注釈1) アメリカ合衆国に本拠地をおく、金融および通信事業の会社である。160年の歴史を持ち、全世界の約200ヶ国で個人送金、企業支払と貿易業務を代行している。
※参照元
https://www.mypaga.com/paga-web/customer/static/company/aboutUs
設立までの背景
創業者の背景
シスコシステムズの企業開発マネージャーや、デロイトコンサルティング社でシニアコンサルタントに勤める。起業家精神が高く、oviosu氏は起業家精神が大陸全体への変化と成長の推進力だと考え、pagaを設立する。
市場背景
ナイジェリアは人口1億8600万人のアフリカ最大の経済大国であるのにもかかわらず、人口の42%が貧困層であり、この割合は年々増加している。62%の人が銀行口座を持たず貧困であり、貧困層から抜け出すことがますます困難になっている。
またナイジェリアの名目GDP(※2)は世界31位(2018年)であるのにも関わらず、一人当たりの名目GDPとなると世界144位(2018年)となる。
こうしたナイジェリアの貧困問題、経済格差はいまだ改善されていない。これらの問題を解決していき、ナイジェリア内での取引を増やすことが今後の課題となっている。
Pegaの実績
Pagaは2017年末に800万人以上のユーザーを確保、約4,270万件の取引を記録し、総額は6,600億ドルを超えた。ナイジェリア外の取引は今後も増え続けることが予想される。
※参照元:
https://techpoint.africa/2017/04/10/tayo-oviosu-paga-founder-ceo/
https://www.imf.org/en/Publications/SPROLLS/world-economic-outlook-databases#sort=%40imfdate%20descending
https://www.globalinnovation.fund/investments/paga/
(※注釈2) その年の経済活動の水準を算出したもの。 GDPには2種類あり、生産額を単純に足し、計算したものが名目GDP。 もう一つの実質GDPはインフレなど景気による生産額を考慮し算出したGDPのこと。
サービス詳細
日本でのpaypal、paypayにみられるモバイル決済システムサービスのようなもので、サービスは具体的に以下のようなことが可能である。
小売業者への支払い。プリペイド電話クレジットの購入。Pagaアカウントへ預金。公共料金やテレビ料金の支払い。ウエスタンユニオンからの送金を受け取る。
利用方法はpagaアカウントを作成し、スマートフォンアプリもしくはモバイルサイトにアクセスする方法と*242#に電話をかける方法がある。
これらは銀行口座がなくとも、インターネットがつながらない状況でも利用できる。
※参照元:
https://www.mypaga.com/
https://www.legit.ng/1168238-how-paga-work-nigeria.html
競合について
Ready Cash
ユニコマージャマイカグループの子会社。2015年6月に設立され、マイクロファイナンス部門での強化を図っている。36か月間最大60万ドルの無担保融資が可能である点が魅力的。
Cash Envoy
2009年11月に運用が開始された、企業がオンラインで支払いを受けることができるサービス。ナイジェリア国内での主要なクレジットカードに対応している。海外送金により対応するために、海外の電子マネーとの互換性を高めている。
Pagaの優位性
Pagaの優れている点としては銀行口座がなくとも、インターネットがつながらない状況でも利用できる点である。ただ、ウエスタンユニオンとの提携により少し緩和されたとはいえ、いまだ多くの海外の電子マネーとは送金ができない。そのためpagaはCashenvoyよりも早く、海外電子マネーとの提携を結ぶことが求められる。
銀行との協力
Oviousは銀行はライバルではなく、パートナーであると語っている。そして、pagaの在り方として、銀行になるのではなく銀行と協力し、10億人がお金とアクセスできるサービスを作りたいと考えているの述べた。
競合として戦うのではなく、パートナーとして利用することがpagaがサービス拡大できた要因の一つであろう。さらに戦い方として貯蓄と融資により利益をあげるモデルを作り出すそうだ。この戦術により、pagaの資金は拡大し、さらなるサービスの展開が予想される。
※参照元:
https://www.findyello.com/jamaica-island/courts-ready-cash/profile
https://www.cashenvoy.com/
https://techcrunch.com/2018/09/06/paga/
今後の展開
GSMA Intelligenceによると、世界中で5年以内に携帯電話所持率が約10%増加するという予想があり、今後も携帯電話普及率は世界的に高まることが予想される。
こうした流れを受け、モバイル決済サービスは世界中で発展しており、この競争の中で生き残る必要がある。
現在、世界的に主流なPaypal、Alipay、などのサービスと真っ向から戦う日も近い。Oviousは海外に拡大し、どのようにpagaを世界中に浸透させていくのだろうか。今後に期待である。