『Tap and Go』アフリカ版のPASMO!公共のバスでタッチして使えるカード

AC Groupはルワンダで公共交通機関の利用者の負担を軽減するスマートな移動手段「Tap&Go」を提供するスタートアップである。

ルワンダの首都キガリ市内から提供を開始した交通サービスは、ショップやレストランでの支払いも可能に。

また現在カメルーンの首都ヤウンデでも提供するなど拡大している。

サービス概要

バスの料金を現金で支払う、それは現在では多くの国、特に日本やヨーロッパなどの先進国では過去の話。今や電子化が当たり前となっている。

一方、アフリカ諸国などいわゆる発展途上国といわれる地域、ルワンダの首都キガリでもバスの料金は現金での集金が一般的だった。

支払いに時間がかかり、それによる遅延がまん延し、バスの事業側と利用者と双方にとって問題となっていた。またそれ以上にバスの事業側にとって問題だったのは、利用者の人数が分からない中でどれくらいの取りこぼしがあるかが把握できないことだった。

そこで、電子化を導入することで、遅延や集金の取りこぼしなどの改善が可能となった。
今はバスだけではなく、ACグループが提携したショップやレストランなどでの支払いもTap&Goのカードで行うことができるようになっており、ルワンダ政府が目指すキャッシュレス経済に貢献している。

近々ルワンダ国内の他の地域や、カメルーン以外の国へも展開する予定である。

企業基本情報

起業家情報

代表:Patric Nsenga Buchana(パトリック・ブチャナ)CEO
出身:ウガンダ(子供時代をウガンダで過ごした)
学歴:ルワンダ大学科学技術学部(中退)、スタンフォード大学大学院経営学エグゼクティブプログラムに登録
年齢:28歳(2019年時点)

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:ルワンダキガリ市内、カメルーン
従業員数:1-50名
ホームページ:http://acgroup.rw/

推定資金調達額合計:20Mドル

事業沿革

  • 
2015.  AC Group設立
  • 2015.12. Tap&Goサービスをキガリ市内で開始
  • 2017.4.  日本のDMMグループが2,000万ドル出資
  • 2017. カメルーン・ヤウンデで同事業を開始
  • 2018. Tap&Go Wifiサービス、モバイルマネーによる支払いサービスを導入

※参照元:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002003.000002581.html
https://ktpress.rw/2017/12/20m-invested-in-tap-and-go-technology/

ACグループについて

AC GROUPは、「Tap & Go」システムに代表される、公共交通機関向けの非接触型電子決済システムを提供するテクノロジー企業。

ルワンダの国家開発計画「VISION2020」で掲げるスマート・シティを目指し、ルワンダ政府と連携し、キガリ市内を走るバスに「Tap & Go」を導入している。日本からはDMM.com(※1)グループがAC GROUPに出資を行っている。

(※1)DMM.comとは
DMM.comは、インターネットを通じて様々なコンテンツを提供するインターネット企業である。動画配信や太陽光、オンラインサロン、中古車販売など幅広いサービスを柔軟に提供している。2015年にアフリカ事業部を設立し、アフリカを始めとした新興国における新規事業開発に積極的に取り組んでいる。

設立までの背景

創業者の背景

CEOのBuchana氏は以下の様に語っている。

「我々は公共交通に課題を感じていた。多くの遅延やどれくらいの人がバスを利用したのかがわからないことによる収入の不明さなど」「そして利用者もそれに影響を受けていた」

“We saw the challenges in public transport. … There were too many delays, and income suffered because there was no sure way to monitor how many people used the bus,” Buchana says. “And as public transport users, we were affected.”

ACグループの共同経営者Philip Ngarambe氏は共通の友人を通してBuchana氏と出会った。そこでも以下の様に意気投合している。

「最初に会った時から、私たちは同じことを考えていた。バスの事業者は収入を失っていることに困っており、料金の電子化の必要性に気づいていた。国のキャッシュレス経済の推進に刺激を受け、私たちはこれに貢献できると思った」

“From the very first meeting, we knew that we were on the same page,”“We noticed the need to digitalize fares for public transport as we were aware of bus operators suffering loss of income. We were inspired by our country’s initiative to champion the cashless economy initiative and we saw this as our contribution to the cause,”

引用元:https://www.ozy.com/rising-stars/this-27-year-old-is-disrupting-africas-public-transport-systems/84014

市場背景

ルワンダの概況

東アフリカに位置する共和制国家。内陸国であり、人口は1200万人であり、人口密度が高い。近年、目覚ましい経済発展を遂げ、類を見ない程、治安の良さと汚職の少なさを実現している。

ルワンダは石油、天然ガスなどの地下資源には恵まれない。また、内陸国であるため、製造業には不向きである。

スタートアップ環境

ルワンダは、1994年に部族紛争に端を発する大虐殺(ジェノサイド)を経験しながらも、その後、治安や教育水準の向上とともに、急速な経済成長を実現し「アフリカの奇跡」と呼ばれている。

ルワンダ政府は2000年に長期開発計画の「VISION2020」を定め政策の一つとしてIT立国を宣言している。日本政府もODAを通し、同国のICT促進を支援している。

ACグループの提案した「Tap&Go」は政府が掲げるキャッシュレス経済の方向性と合致し、またバス料金の収集に苦慮していたバス運行事業者3社からも合意を得てサービスを展開。現在の成功に至っている。

ICT政策

全国土に光ファイバーケーブルが敷設され、国民の携帯電話の普及率は75%に達する。電力網は国土の4割しか普及していないが、電気の通っていないところでは、基地局でディーゼル発電機が稼働することで人々に電波を届ける。

首都キガリなどでは、多くがスマートフォンである。携帯電話でのウェブマネー決済が一般化しており、小さな個人商店でも利用できる。

サービス詳細

キガリ市内のバス停などでカードを購入し、チャージする。そしてバスの中でタッチして支払うというPASMOやICOCAなどと同様の仕組みである。

競合・サービス拡大

競合について

ルワンダ政府とコンセッション契約を締結して事業を展開しており、ルワンダ国内にはほとんど競合が存在しない。

サービス拡大の秘訣

同社によると、同社のアフリカにおけるブランド力と、同社のビジネスモデルに関心を持つアフリカ各国政府と良好な関係を構築していることが同社の強みとのこと。

※参照元
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/ipnews/2019/40169f9c5e330ccc/companydetail.pdf

今後の展開

公共交通機関の支払いからスタートしたが、今はバス以外の業態の企業と提携することで、ショップやスタジアム、レストランなどでの支払いでも利用可能となっている。

また近々、キガリ市内の公共交通機関(バス)から、旅行者へターゲットを広げようとしている。

新たにローンチ予定のアプリでは、旅行者が公共交通機関(バス)の予約をオンラインで行えたり、送られてきたQRコード付きのレシートで乗車が可能になるとのこと。同社は利用者がより便利に公共交通機関(バス)が利用できるようになることを目指している。

また新サービスが発表されたトランスフォーム・アフリカ・サミットは、アフリカ24か国から構成されるスマートアフリカが主催するアフリカ最大級のICTイベント。同社は本イベントを通じてアフリカ諸国へのサービス拡大を着々と進めている。

※参照元:

https://www.newtimes.co.rw/news/featured-ac-group-expand-services-beyond-kigali
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin09_02000085.html

メモ書き:その他のICT関連企業

(1)長距離バスチケットのオンライン販売

乗客はバスターミナルなどに行かなくても、インターネットでチケットを予約購入できるようになった。ルワンダの27の長距離バス会社のうち14社と契約しているほか、隣国ウガンダのバス会社1社とも提携する。

発券機はインターネットに接続可能で、発券機にインストールするソフトウェアを自社で開発した。

(2)アプリで料理の注文を受けバイクで配達

2018年9月にフードデリバリーのアプリをリリース。キガリ市内に10店舗を展開するレストランチェーンと提携し、アプリで料理を注文すればバイクで配達してくれるサービスを提供している。(「ビタファ」社)

(3)最適な配送業者を選べるアプリ

2018年12月に、自社開発の「オヘレザ」という配送サービスのアプリをリリース。これは送りたい品物、送り先の情報などをアプリに入力し、複数の配送業者の中から料金や評価を元に選択するもので、話が成立すれば、業者が直接送り主のところへ集荷に訪れる。

配送料金や相手に荷物が届いたか、どうかもアプリ上で確認。料金はモバイルマネーで支払われる。

上記3社はいずれもICT関連の企業であるが、政府主導のICT政策がいかに裾野を広げているかを示している。

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