『Aerobotics』ドローン技術を活用して、農家をサポートするテックカンパニー

『Aerobotics』は南アフリカ発の農業に特化したテックカンパニーだ。ドローン・衛星を通して撮影した航空写真をビッグデータとして収集することが事業の特徴だ。AIによって農作物にとって問題のある害虫・病気を判断、属人的な生産管理をなくすことが彼らの狙いだ。

サービス概要

前述の通り、無人ドローンを使って航空写真の撮影、ビッグデータとして情報収集をしてAI技術を通して情報をサブスクリプションで提携することがサービスの根幹となっている。

果樹園のそれぞれの木々で発生している害虫・病気についてエリアごとに診断、生産管理に対する情報提供をスマートフォンアプリを通してスコアリングされたデータを農業従事者に提供することをベースとしている。

企業基本情報

起業家情報

代表:James Paterson, Benji Meltzer
出身:南アフリカ
学歴:James Paterson:University of Cape Town(UCT)にて機械工学での理学士号を取得、空中・地上ロボットにおける賞を受賞
Benji Meltzer:University of Cape Town(UCT)にて機械工学での理学士号を取得後、ロンドンのImperial Collegeにて生物医学・医療工学に関する理修士号を取得
年齢:不明

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:南アフリカ、ナミビア、タンザニア、 マラウイ、ケニア、ペルー、ウルグアイ、チリ、フランス、スペイン、 ポルトガル、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、米国など18カ国
従業員数:56人
ホームページ:https://www.aerobotics.com/
推定資金調達額合計:870万ドル(2019年9月現在)

事業沿革

  • 2014.9 Aerobotics創業
  • 2017.8 4DI CAPITAL(※1)、Savannah Fund(※2)よりシード調達を発表($609.7K)
  • 2018.7 NEDBANK(※3)、AngelList(※4)、4DI CAPITAL、AgFUNDER(※5)よりシリーズA調達を発表( $2M)
  • 2019.2 Paper Plan Ventures(※6)よりシリーズA追加調達の発表($2.1M)、南アフリカを含めて、11カ国で展開、果物の収穫数、サイズを自動測定する収集管理機能を開発

※参照元:
https://www.owler.com/company/aerobotics2
https://www.crunchbase.com/organization/aerobotics#section-overview

(※1)4DI CAPITALとは
アーリーステージ特化型のベンチャーキャピタル

(※2)Savannah Fundとは
アフリカ内でのシード期・テック系特化型のリーデイングファンド

(※3)NED BANKとは
南アフリカ最大の銀行の1社

(※4)AngelListとは
アメリカ発のスタートアップ・エンジェル投資家向けSNSを運営する企業

(※5)AgFunderとは
シリコンバレーを拠点として活動するフードテック・アグリテック特化のベンチャーキャピタル

(※6)Paper Plan Venturesとは
エクスポテンシャル(指数関数的)コンサルティングとVC業務を行うベンチャー企業

設立までの背景

南アフリカでは、広大なエリアで農業展開する農家にとって、生産管理は重要な経営課題だが、属人的な人の判断に頼ることなく、システム的に行うにはドローンの導入が解決策だった。

だが、ドローンは購入コストがかなりかかる上に、免許取得をするにも時間的・金銭的なコストも課題だった。

※参照元:
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/dc0d01678915e238/20180042.pdf

設立背景

創業者のバックグラウンド

CEOであるJamesは、ケープタウン大学(UCT)にて理学士号(機械工学、ロボット、自動工学)を修了後、マサチューセッツ工科大学(MIT)にて理修士号(航空宇宙、航空工学)を修了後、Aeroboticsを起業。

一方、共同創業者のBenjiは同じくUCTで理学士号を修了後、ロンドンのインペリアルカレッジで理修士号を修了、その後The Cyest Corporationにてビジネスアナリスト、その後Uberにてオペレーション・物流のマネージャーを歴任した後に、Jamesと起業。

市場背景

農林水産省による調査では、南アフリカでは、生鮮青果の輸出がビジネスとして確立されており、特にリンゴ・柑橘類といった保存性の高い果物の生産が盛んと言われている。

農業規模としては、2割の白人経営者による大規模農場が農業生産額の8割を占めるほどだ。1950年代の12万農家から4万農家と数を減らしているものの、農業生産額が落ちないのは、この農場の大規模化が背景にある。

現在の市場の問題点

上記の市場背景あるのは、大規模農業経営における生産管理の問題だ。感慨設備を通して、降水量の不足、干ばつなどの気象リスクに対する対策をする一方で大規模化していく農場に対して1本1本の木々の状態などをシステマチックに管理することには従来のモデルではかなり難しい状態だった。

出来るのは従業員による属人的な管理となるため、生産予測をすることが必ずしも安定的ではなかったと言える。

サービス詳細

実際の利用方法について

  1. Aerobotics公式ページにて、無料アカウントの登録、農場の位置を記載する。(この時点で、衛星データから3年間分の各種データを得ることが出来る。)
  2. ワンシーズンにつき3回のドローン飛行を発注する。Aeroboticsが手配するドローンで、高画質のドローン画像により果樹の健康状態やサイズなどのトラッキングが出来るようになる。
  3. Aeroview Scoutというモバイルアプリを通して、衛星データ、またこれらの画像情報をもとにして、定量化されたエリア毎の情報を確認出来るようになる。
  4. 上記のデータドリブンな情報に基づいて、農場に対する生産管理やメンテナンスを出来る。

※参照元:
https://www.aerobotics.com/
https://www.aerobotics.com/pricing?identifier=default-get-in-touch-button

航空画像による画像解析

Aeroviewというサービスで出来ることは、ドローンの空撮だけではなく、ドローンの空撮データ・また衛星からの航空画像を元にエリアごとの木々・果樹に対する病気や害虫が発生していないかを判定することが出来る。

知りたい時期の画像データを指定し、特定エリア内の木々の数や高さのデータを算出したり、害虫が発生している場所も特定することが可能だ。

また、ドローンの撮影サービスのリクエストなどもこのアプリ内で出来るので、農家の経営者にとっては非常にスピーディーかつ、的確なデータを得ることが可能なことが特徴だ。

また、パッケージ商品の中でも、有料となっている果樹園パッケージと季節パッケージについては、基本的にクライアントからのサポートサービスもついているので、別途農業に関するアドバイスを聞くことなども可能だ。

※参照元:
https://www.youtube.com/watch?time_continue=84&v=7ecWRbTX5v4
https://support.aerobotics.com/article/85-how-to-use-aeroview
https://support.aerobotics.com/article/9-pricing

競合・サービス拡大

競合について

競合の中でも特に最大手と言っても過言ではないのが、DroneDeployだ。Aeroboticsよりも1年早く創業した彼らは、2018年6月にて既にシリーズCの調達を完了(日本発のドローン関連のスタートアップ特化のDrone Fundからも$1.6M調達している)した。

累計調達額は$56Mにも上る。従業員数は2019年9月時点で133名と同社の2倍の規模となっている。

彼らの事業モデルは、ドローンに関連したビジネス全般に広く展開されており、農業だけではなく、建設業や石油・ガス事業、採石場など様々なビジネス領域にも活用されていることが大きな違いだ。

また、ソフトウェアビジネスとして見るだけでも、すでにDroneDppoyは180カ国以上にも展開されている。ドローン運転も自動化されているなど、調達額の差から見ても、事業展開スピードの差は大きいと言わざるを得ないだろう。

差別化のポイント

サービス拡大の秘訣として、今後開発予定とされている生産管理サービスのサブスクリプション化が大きな課題ではないだろうか。

競合では既に農業だけではなく、マッピング技術において他業界も含めた事業展開がされていく中で、Aeroboticsは農業に特化したドローンを活用したビジネス展開をどれだけ掘り下げれるかが、差別化のポイントとなってくるだろう。

また、CTOのBenjiのキャリアからの推測ではあるが、今後彼らが農家の物流支援を含めたサービスのプラットフォーム化を進めていくことも、一つの拡大の秘訣と言っていいのではないだろうか。

※参照元:
https://www.aerobotics.com/?identifier=default-get-in-touch-button

今後の展開

同社の今後の展開として予定されているのは、農家が銀行への融資などに対して必要な生産予測データなどを信用情報として提供し、保険や資産評価として、それらのデータを紐付けていくことだ。

おそらく南アフリカでは今後も農家数が減り、農場の大規模化は進んでいくと見ていいだろう。

その際に彼らの需要は更に高まるはずだ。それは、単なるマッピング技術としてのドローン活用ではなく、彼らの狙っているマネタイズポイントとして、どこまで拡大されていくかが今後の見どころだ。

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