『Gov Chat』国民と政府の対話ツール。国民の政治関心度を大きく高める

Gov Chatは南アフリカ共和国の政府と国民が直接コミュニケーションを取ることができるプラットフォーム。WhatAppというSNSを介してUSSD(Unstructured Supplementary Service Data)と呼ばれる通信技術で政府の役人とリアルタイムでやりとりができる。

これにより国民の意見をより多く取り入れ、国民に政治事情をより身近に感じてもらい、国民の政党支持率と信頼を得ることに大きく貢献している。

サービス概要

GovChatは一言で言えば政府が国民からの意見聴取を行えるプラットフォームである。

多くの国民がすでに使用しているWhatAppというSNSアプリをプラットフォームとして利用することで多くの国民からの聴取を取ることに成功している。

アフリカ国内でWhatAppを使っているユーザーは1600万人を超えており、1万以上の公認サポートや3万以上の公共施設の意見聴取などを円滑化させている。

ここまでGovChatが国民に理解され、使用されている理由は国民の意見に対し、政府側がほぼ確実に何らかの反応を返すからである。

USSDというお互いがログイン状態の間だけ通信可能な仕組みがGovChatには組み込まれており、政府の役人がログイン状態になっているときのみ、GovChatは機能する様になっている。

これにより、国民の意見聴取がしっかりと取られ、政策に反映されるためである。

企業基本情報

起業家情報

代表:Eldrid Jordaan
出身:南アフリカ共和国
学歴:University of Stellenbosch

会社概要

サービス提供国:南アフリカ共和国
従業員数:10人
ホームページ:https://www.govchat.org
推定資金調達額合計:$1,200,000(an angel gave)

事業沿革

  • 2013年:GovChatの構築のため個人で資金調達を始める。
  • 2014年:適切なスキルを持つ人員と作業環境を整え、GovChatの実用化に向けて開発を始める。
  • 2016年:WhatAppにUSSDを介して南アフリカの政界人と誰でも連絡ができるシステムが完成。
  • 2017年:4年間収入なしで開発を続けていたが、遂にアフリカ大統領による国からの投資を得る。
  • 2017年:アフリカの現大統領のCyril Ramaphosaの意向で$12,000,000の投資を獲得する。

※参照元:
http://www.702.co.za/articles/353733/govchat-aims-to-get-more-ordinary-citizens-in-touch-with-government

設立までの背景

創業者の背景

GovChatの最高責任者であるEldrid Jordaanは、元々は南アフリカの人気のSNSチャットアプリのひとつであるMXitの開発チームの一員だった。それ故に開発技術やオンラインチャットの構造に精通していた。

後にJordaanは政府関係の責任を負う諮問委員会メンバーになり、その際により国民と政府の間にある壁をどのように取り払うかを考えた時、Mxitのような国民に馴染みのあるプラットフォームが有効なのではないかと考え、GovChatを考えた。

※参照元:
https://en.wikipedia.org/wiki/Mxit

市場背景

アフリカでは2009年以降ズマ大統領(Jacob Gedleyihlekisa Zuma)の政権が続いており、2014年の政権交代でもズマ大統領が大統領を続投したため、安泰をたどる政権に徐々に国民が国の政治に関心が離れていっている事が懸念されていた。

2014年に実施したアンケートでは、実に80%の市民が自身の選挙区の現行議員が誰なのかを把握していないという事も示唆されていた。

国民が政治に関心を持つようにと、アフリカ政府が国民の意見を集める為に稼働していた従来のソフトもあるのだが、国民の中にはこのプラットフォームそのものを知らないという人々も多くいた。

JordaanはMXitのようなSNSアプリが国民の中でもっとも身近で馴染みのあるコミニュケーションのツールであることを知っていた為、それを利用すれば国民と政府の距離が縮まるのではないかと考えた。

利用人口の最も多いWhatAppを介してGovChatにアクセスできるようにシステムを組み込んだ。

その結果、多くの国民からGovChatは認知され、国民の意見を聴取できる場所として立ち位置を確立した。

また2018年にズマ政権は終わり、後任にはラマポーザ(Cyril Ramaphosa)が大統領に選ばれたのだが、国民の政治への関心意識は未だ上々であり、GovChatの影響も大きいと考えられる。

サービス詳細

国民の誰もが気軽に利用できるように利用人口のもっとも高いSNSであるWhatAppと呼ばれるチャットアプリからGovChatにアクセスが可能である。

GovChatから国民が政府に対して声を届ける方法は大きく分けて3つありそれぞれ目的によって分けられる。

  •  評価と報告
  • サービスの要求
  • 寄付と援助

評価と報告

政府が提供する公共施設などに対して国民がそれに対する評価や意見、改善点などを提案することができる。
対象となる公共施設は以下の項目の通りで、対象の総数は3万件に及ぶ。

  • 警察
  • 病院、診療所
  • 学校
  • 郵便局
  • 保育園、託児所

サービスの要求

自治体や公共機関から受けられる待遇についての要求をすることができる。
水道や電気等のインフラの整備や下水やゴミの処理などに関する要求などもこのフォームから政府に直接掛け合うことができる。

寄付と援助

例えば災害被害などの緊急事態による食料の供給や、低所得者への金銭の支給など、NPO(非営利団体)やCBO(地域自治体)に一任される業務依頼をこのプラットフォームから要求することができる。

※参照元:
https://www.iafrikan.com/2018/10/20/govchat-south-africa-eldrid-jordaan-policy-governance-civic-technology-ghana-nigeria-democratic-republic-of-congo/

サービス拡大の秘訣

GovChatが南アフリカでここまで多くの国民に利用されるようになったのは創業者であるEldrid JordaanがMxitで多くの人々が日常的に使うSNSの性格と強みを深く理解していたからだろう。

GovChatを新たなツールとして導入するのではなく、多くの国民がすでに使用しているプラットフォームに組み込むことで違和感なく自然に多くの国民に受け入れられることに成功している。

USSDというお互いがログイン状態の間だけ通信可能な仕組みがGovChatには組み込まれていて、これにより政府側が国民からの意見を受け入れることが可能な状態の時だけ応対している為、国民から貰った意見をしっかり聴取し、政策の改善にもGovChatは大きく貢献している。

国民からの評価も上々であり、今後もGovChatを利用する人口は拡大していくだろう。

※参照元:
https://ventureburn.com/2019/05/govchat-r20m-capital-appreciation/

今後の展開

GovChatの開発グループである「Civic Tech」は市民の地域コミュニティの構築や問題改善していくことがGovChatの目的であると述べている。

そこには時代に適応した通信の先端技術がこれらを促進していることは間違いないが、あくまで技術の発展は手段であって、目的ではない。

今後も時代が移り変われば、使われるツールやシステムは革新的な技術が求められ、そこに今のGovChatの現行の仕組みが用いられるかどうかはわからない。

政府は常に市民のより良い暮らし作りを目的にその時代に合わせたツールを使い、国民との対話を図っていくことが何よりも大事にしていくべきだ。

※参照元:
https://www.iafrikan.com/2018/10/20/govchat-south-africa-eldrid-jordaan-policy-governance-civic-technology-ghana-nigeria-democratic-republic-of-congo/
https://ventureburn.com/2019/05/govchat-r20m-capital-appreciation/
https://www.govchat.org
https://en.wikipedia.org/wiki/Mxit
https://www.thesouthafrican.com/news/what-is-govchat-whatsapp-politicians/

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