『iFarming』農業灌漑を効率化!独自のアルゴリズムPhyt’EauとIoTデバイス

『iFarming』チュニジアでIoTデバイスを使った農業の効率化を行なっているチュニジアのスタートアップである。

サービス概要

農地に設置したセンサにより気温・湿度・風向・土壌水分などを計測する。現場で収集された情報はiFarmingで独自に開発したアルゴリズムにIBM社のAIワトソンが組み込まれた製品「Phyt’Eau(フィト) 」で処理され、クラウドに保存される。

このアルゴリズム「Phyt’Eau(フィト) 」は過去20年間に遡って調査した天候データや文献、論文から組み立てたものだ。

これらの情報によって灌漑のタイミングや容量、病気の予測と農薬のアドバイスなどがリアルタイムで行うことができる。ifarmingによるとセンサーを使った農家は20%~30%収穫量が向上したという。また、40%の節水ができた農家も存在する。

これまでの農業は経験と知識に頼ったものであった。しかし、天候や時期などは年々変化し、最適なやり方は毎年変化してゆく。iFarmingが開発したアルゴリズム処理で、それらを最適化してゆく。

※参照元
JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/c36fee9e2383ce10/20180058.pdf
https://www.jeuneafrique.com/501309/economie/start-up-de-la-semaine-ifarming-future-licorne-tunisienne-de-lirrigation-en-temps-reel/
https://www.lemonde.fr/afrique/article/2018/06/22/en-tunisie-un-algorithme-met-de-l-huile-dans-les-systemes-d-irrigation_5319533_3212.html

企業基本情報

起業家情報

代表:Rabeb Fersi
出身:チュニジア
学歴:National Institute of Agronomy of Tunisia (INAT)
年齢:39歳

会社概要

サービス提供国:チュニジア モロッコ
従業員数:不明
ホームページ:https://ifarming-solutions.com
推定資金調達額合計:750,000ディナール (創業者持ち株40%程度と推測)
パートナー企業:Sofia Technology, IBM, Royal Green Technology ,orange(旧フランステレコム)

事業沿革

  • 2017年3月 チュニジア首都チュニスにてソフィア・ホールディング・グループ(※1)内で設立
  • 2017年5月 チュニジア最大の起業家コンクール「BLOOMMASTERS2018スタートアップ部門で優勝
  • 2017年7月 IBM社と提携 BlueMix(※2)・AIワトソンを使用する。
  • 2018年3月 フランス首都パリのあるイル・ド・フランス地方の「Prix Sprint」コンクールで「今年のチュニジアのグリーン・スタートアップ賞」受賞
  • 2018年 フランス首都パリにあるインキュベーション施設STATION Fに活動拠点を移動

(※1)ソフィア・ホールディング・グループ(sofia holding group)とは
チュニジアのIT企業
https://sofia-technologies.com

(※2)BlueMixとは
IBMのクラウドサービス。現IBM cloud

資金提供(時期不明)

  • ソフィア・ホールディン・グループから2度、資金提供 250,000ディナール
  • United Gulf Financial Services, Barhein (UGFS)(※3)から資金提供、500,000ディナール

(※3)UGFSとは
イスラム圏のベンチャーキャピタル(https://www.ugfsnorthafrica.com.tn/who-we-are/

設立までの背景

市場背景

チュニジアにおける農業は、GDPの8.5%と雇用の15%を締める重要産業である。ほぼ砂漠気候の地域が多く、淡水の不足は常に深刻である。

世界の人口増加と比例して食料需要も増加傾向にあり、効率的に農作物を作るために水利用 (灌漑システム)のニーズが高まっている。

参照元:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/c36fee9e2383ce10/20180058.pdf

実際のIoTデバイス

以下ではiFarimingが提供する実際のIoTデバイスを紹介してゆく。ここにあるのはほんの一例で他にも様々なデバイスが用意されている。

NODO METEO BASE STANDARD

引用元:ifariming ホームページより

上のデバイスでは以下のようなデータを観測・収集することができる

  • 気温
  • 空気湿度
  • 大気圧
  • 降水量
  • 日射量・日射時間
  • 葉の濡れ

NODO POTENZIALE IDRICO

引用元:ifariming ホームページより

上のデバイスでは20cmと60cmにデバイスを地中に埋め込む。以下のようなデータを観測・収集することができる

  • 土壌温度
  • 土壌水分量

NODO ACCRESCIMENTO

引用元:ifariming ホームページより

以下のようなデータを観測・収集することができる

  • 農作物の表面の水分量
  • 農作物の表面の温度

NODO MICRO BAGNATURA FOGLIARE

引用元:ifariming ホームページより

以下のようなデータを観測・収集することができる

  • 葉の表面の水分量
  • 葉の表面の温度

NODO MULTITEMP

引用元:ifariming ホームページより

以下のようなデータを観測・収集することができる

  • 地上の気温
  • 地上のから1mの気温
  • 地上のから2mの気温

 

なぜサービスが拡大したのか

Ifarmingは成功にはアルゴリズムのPhyt’Eau(フィト) の開発と政治的背景の両面から見る必要がある。

Phyt’Eau(フィト) の開発

長年の研究データ(天候、湿度、温度、天災など)を蓄積し、膨大なデータベースを構築した。これには地道な研究が伴った。

これにより開発されたPhyt’Eau(フィト) がifarimingのすべての農業を管理している。これは管理するだけなく、データが蓄積されるので、IBMのAIであるワトソンが学習を繰り返すことにより、年々精度が上がってゆく。

もはや他社では真似できない精度の高い膨大なデータが蓄積され続けている。ちなみに現在はゴルフ場にもPhyt’Eau(フィト)が利用されている。

政治的背景

2011年のチュニジア民衆蜂起「ジャスミン革命」の後、政権交代がなされた。新しい政権が重視したのは、”高止まりしている若年層失業率”と”人口増加に伴う農作物の効率的な収穫”である。

そのような国の方針の中で、iFarmingは、若い高等教育修了者が動き、Phyt’Eau(フィト)が完成した。推測だが国の方針と近かったこともあり、Phyt’Eau(フィト)の開発には補助金などが支給されたと思われる。

※参照元
http://www.fao.org/3/a-i7738e.pdf
https://www.lemonde.fr/afrique/article/2018/06/22/en-tunisie-un-algorithme-met-de-l-huile-dans-les-systemes-d-irrigation_5319533_3212.html

今後の展開

Ifarmingは以下のように語っている。

“iFarmingはユニコーン企業になるための出発点にいます”
“iFarming est dans les starting-blocks pour être une licorne”

iFarmingはそのデータベースと共に成長してゆく。現在はチュニジアやモロッコでサービスを提供しているが、アルジェリア、エジプトなどの他の国でもPhyt’Eau(フィト)を使い農業が効率化できると考えられる。

特にアフリカ大陸の人口増加と農業の効率化は喫緊の課題だと言える。将来の食料確保に向けてIfarmingは成長を続けてゆくだろう。本当のユニコーン企業になる日も近いかもしれない。

※参照元
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2019/01/c36fee9e2383ce10.html
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/c36fee9e2383ce10/20180058.pdf

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