『Kaoun』 チュニジアで拡大中のモバイル決済サービス

Kaounはチュニジアのスタートアップである。

2018年にNebras Jemel、Rostom Bouazizi、Anis Kallelの3人の共同創設者によって立ち上げられた。彼らは、それぞれロチェスター大学、ハーバード大学、コロンビア大学を卒業したのち、いくつかの企業を経て、母国であるチュニジアでKaounを設立した。

Kaounはチュニジアで初めて、リモートによる銀行口座開設を可能にするアプリFlouciを提供しているスタートアップである。

サービス概

Flouciはユーザーがリモートで銀行口座を開くことができるアプリである。

ユーザーが行うステップは以下のとおりである。

  • 口座を開きたい銀行口座を選択
  • チュニジアのCIN(国民ID)の写真を送信
  • 自分の簡単なビデオを録画し、送信

これらはすべて、自分のモバイルから行うことができる。

その後のステップも簡潔だ。Flouciのマシンビジョンソフトウェアが、CINの信頼性を検証し、ビデオとIDカードで顔認識アルゴリズムを実行し、一致信頼スコアをバックオフィスに送信する。

仮に、提出されたCINの信頼性を検証し、異常を検出した場合は、銀行のコンプライアンスチームに潜在的なドキュメント詐欺について警告することができるので、偽造の心配もない。

銀行スタッフからの最終承認を得て、銀行口座の開設は完了する。銀行を訪れる時間や費用を削減でき、面倒な書類手続きも必要なく、リモートですべての手続きが完了するのだ。

企業基本情報

起業家情報

代表(CEO):Nebras Jemel (ネブラス・ジェメル)
出身:チュニジア
学歴:ハーバード大学
生年月日または年齢:不明

代表(COO):Rostom Bouazizi(ロスト・ブアジジ)
出身:チュニジア
学歴:ハーバード大学
生年月日または年齢:不明

代表(CTO):Anis Kallel(アニス・カレル)
出身:チュニジア
学歴:ロチェスター大学
生年月日または年齢:20代後半(2020年時点)

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:チュニジア
従業員数:11~50人
ホームページ:https://www.kaoun.com/en/
推定資金調達額合計:不明

事業沿革

  • 2018年 Kaoun設立
  • 2018年 Flouciリリース
  • 2019年 TunTrust(※2)とKaounのパートナーシップ| 委任登録局契約の署名

2018年に2つのエンジェル投資家から資金を調達した。製品とキャッシュレス決済のインフラ開発に成功し、チュニジアの2つの銀行と、国のNational Digital Certification Agencyとの主要なパートナーシップを確保した。

(※2)TunTrustとは
チュニジアでは1997年に電子商取引および電子政府の戦略実施を担当する委員会が設立された。2000年、委員会と通信技術省が設立した国家電子認証機関である。

市場背景

チュニジアなどのアフリカ地域、および中東では金融包摂率(Financial Inclusion)が低いことが問題である。

金融包摂率(Financial Inclusion)とは、基本的金融サービスへアクセスすることに課題があることを解消し、これらのサービスを受けられるようにすることを意味する。

現在、途上国を中心に世界の20億人以上の成人が基礎的な金融サービスにアクセスできない状況にある。近年の途上国では携帯電話、銀行業務代行サービスの積極活用など、異業種を巻き込んだ金融サービスのアクセス向上が推進されている。

G20 はこれを「革新的な金融包摂率」と名づけ、2009年にG20 Financial Inclusion Experts Groupの発足、さらに2010年のG20 トロント・サミットにて「革新的な金融包摂率のための原則」を定め、グローバル課題としての取組みを本格化している。(※3)

アフリカでは代表的なモバイル決済サービス、ケニアの「M-Pesa」が有名だ。

M-PESA上での取引額は6.9兆ケニアシリング(約7.5兆円)で、これはケニアのGDP、約7兆ケニアシリング(約7.7億円)と同等の取引額になる。M-PESAが発表したレポートによると、M-PESAのユーザー数は2700万人。ケニアの人口の約60%の人が利用している計算になる。(※4)

チュニジア政府は金融包摂率を国の経済発展のための重要事項と認識しており、2017年11月に金融包摂監視機構が設立された。近年は金融包摂率を是正することを優先している。

金融包摂率が低いとは、具体的にどういったことを意味するかというと、郵便サービス、銀行口座、クレジットなどの金融サービスを提供する口座をもっていない、または利用がまれであることと、世界銀行は特徴付けている。

これに当てはめると、チュニジアの成人の64%が金融包摂率が低いこととなり、金融サービスが不十分だといえる。チュニジアにおける銀行口座の浸透率は、成人で36%である。、女性に関しては25%、チュニジア全体の20%を占める貧困層では14%程度であるのが現状だ。

このことに関して、共同創設者兼CTOのAnis Kallel氏はこう述べている。

”最も近い銀行支店を見つけるために遠くまで行かなければならないことは、国のより地方の人々に影響を与えます。したがって、チュニジアの農村部の人々は、銀行に口座を開き、高額なコストをかけてまで、彼らのお金の管理を銀行に頼ることを嫌がります。Flouciはアクセスをより民主的にし、これらのサービスの範囲を拡大できると信じています”

“This primarily affects those in the more rural regions of the country, as they have to travel farther distances to find the nearest bank branch. Consequently, rural Tunisians are more reluctant to rely on banks in order to manage their money which does not encourage banks to open branches because of the high overhead costs. We believe that Flouci can democratise access and increase the reach of these services,” (※5)

※引用元:

(※3)
https://mf.living-in-peace.org/blog/2015/10/22/post-661/

(※4)
https://af-tech.jp/m-pesa/

(※5)
https://disrupt-africa.com/2019/07/this-startup-boosts-financial-inclusion-by-helping-tunisians-create-free-bank-accounts/

サービス詳細

Flouciのもたらす利益は一個人にとどまらず、チュニジア全体のの金融包摂率を飛躍的に向上させるサービスになる。ここで、それぞれが利用できるサービスについて述べていく。

ユーザー(個人)

  • リモートでの銀行口座の開設
  • キャッシュレス決済の利用
  • 他のFlouciユーザーへの送金や受け取り
  • 文書への電子署名

ユーザー(事業者)

  • 即時支払いを受ける
  • 売上、支出、顧客情報の管理と分析

金融セクター・政府

  • ビジネスや電子政府サービスへの署名を電子化、ペーパーレスの促進
  • 銀行のソフトウェアと統合
  • 顧客情報のリアルタイムの送信
  • 顧客のクレジットスコアの自動化

先に述べたように、チュニジアの銀行口座の浸透率は36%と低い水準だが、インターネットの普及率は55%と、南アフリカを上回る水準となっている。また、2023年には5Gを導入予定で、今後ますます通信市場は高まることが予想される。

Flouciは、ブロックチェーンテクノロジーを使用することで、銀行間支払いを処理している。ブロックチェーンにより、すべてのトランザクションを4秒以内というスピーディで、安全な処理を行っている。個人、事業者、金融セクターの三者に負担をかけることなく、キャッシュレス決済を可能にしているのだ。

Flouci独自のトランザクションデータに基づく代替のクレジットスコアリングアルゴリズムの作成に取り組んでいる。ユーザーの日々の取引を記録し、必要なデータを取得し、ユーザーのクレジットスコアを作成するのだ。これにより、Flouciは、ファイリングされた顧客の財務状態を評価することを可能にしている。

ユーザーは多くの担保を提供する必要なしにローンを組め、銀行側は、労せずに顧客の信用力を確認することができるのだ。事務処理や物理的な手続きを自動化することができ、より大きな市場にアプローチすることはチュニジア経済の活性化につながるだろう。

さらに、国立電子認定機関(ANCE)とのパートナーシップを通じて、Flouciはのすべてのユーザーにデジタル署名を提供している。暗号化され、検証されたデジタル署名は、法的拘束力のある文書に署名するために使用できる。

現在は、法的に拘束力のある契約の署名には公証が必要だが、この機能によってユーザーは自治体などの政府機関へ出向く必要がなくなる。
への複数回の出張を節約できます。

KaounはFlouciのローンチ以来、銀行と公共機関の両方と強力な関係を築き、製品の品質を証明してきた。銀行や政府といったパートナーは、内部プロセスを加速し、彼らのシステムをFlouciに合わせることに尽力してきた。

今後の展開

Kaounは、中東および北アフリカ地域の他の諸国、特にアルジェリア、モロッコ、トルコへの拡大を、同社の5年目までに開始したいと考えている。

Kaounのサービスは、中小企業、オンラインビジネス、起業家がシームレスかつ非常に手頃な料金で簡単に支払いを受け入れることを容易にする。

彼らがコアビジネスに集中し、現金の取り扱いや回収に集中できないようにするため、既存の市場を拡大するだけでなく、また、彼らの製品をますます技術に精通した顧客に近づけることによって、新しい技術や製品を開発するサポートをしている。

共同創業者兼COOのRostom Bouazizi はこう結論付けている。

”プロジェクトの成功により、フィンテックエコシステムが作成され、既存および新興のプレーヤーと協力して製品を強化し、金融包摂を促進するという使命の達成に近づくことができます”

“The success of the project could also result in creating a Fintech ecosystem in which we could collaborate with existing and emerging players to enhance our offering and move closer towards achieving our mission of promoting financial inclusion,”(※5)

引用元(※5)
https://thestartupscene.me/BehindTheStartup/This-Fin-Tech-Startup-Is-Aiming-to-Make-Tunisia-Cashless

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