『neopenda』ウガンダで60万人の新生児の命を守る監視モニターを提供

Neopendaは、新興国向けの新生児用医療機器を開発・販売する新興企業である。コロンビア大学で生物医学工学を学んだ若手女性起業家2人が学生時代に立ち上げた。

社名であるneopendaは、スワヒリ語の「neo」(新生児)と「penda」(愛)に由来している。

サービス概要

Neopendaが開発・販売するのは、小型のウェアラブル医療機器「neoGuard」だ。

neoGuardは新生児の腕や額に置くだけで、脈拍数、呼吸数、酸素飽和度、体温といった4つのバイタルサインを測定することができる。

測定したデータはタブレットに送られ、リアルタイムで新生児の状態を一括監視できる。

※neopendaホームページより引用

この製品のポイントは、新興国向けの価格・設計になっていることだ。先進国が使用している新生児用機器の機能はそのままに、価格を約半分に抑えた。また、インフラ設備が整っていない病院でも使えるように、ワイヤレスで使用可能だ。

このサービスが導入されれば、ウガンダでは60万人、新興国全体で4,500万人の新生児のケアを改善することができると予想されている。

※参照元:
https://www.neopenda.com/products.html
https://republic.co/neopenda
https://solve.mit.edu/challenges/frontlines-of-health/solutions/4220
https://consciouscompanymedia.com/social-entrepreneurship/31-social-entrepreneurs-watch-2018/

企業基本情報

起業家情報

代表:Sona Shah
出身:不明
学歴:コロンビア大学で生物医学工学の修士号を取得
ジョージア工科大学で化学工学の理学士号を取得
年齢:29歳(2019年時点)

代表:Teresa Cauvel
出身:不明
学歴:サンタクララ大学で生物工学の理学士号を取得
コロンビア大学で生物医学工学の修士号を取得
年齢:26歳(2018年時点)

※参照元
https://www.neopenda.com/who-we-are.html
https://www.chicagobusiness.com/awards/tech-50-2019
https://consciouscompanymedia.com/social-entrepreneurship/31-social-entrepreneurs-watch-2018/

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:ウガンダ
従業員数:4人(2018年時点)
ホームページ:https://www.neopenda.com
推定資金調達額合計:約77万ドル(2019年時点)

※参照元
https://www.neopenda.com/uploads/6/4/3/9/64396077/neopenda_annual_report_2018.pdf
https://solve.mit.edu/challenges/frontlines-of-health/solutions/4220

事業沿革

  • 2015年 コロンビア大学在学時にneopendaを設立、Relevant Health(※1)のアクセラレータープログラムに参加
  • 2016年 初の非希釈的資金調達を開始、イリノイ州シカゴに本社移転、ウガンダの市場調査を開始
  • 2017年 商品の試作品が完成、試作品をウガンダで使用し、100人以上からフィードバックを受ける、特許出願
  • 2018年 ウガンダのカンパラに新事務所を開設し、新たに2名入社、Techstars Chicago Accelerator(※2)のプログラムに参加、ボストンのTufts Medical Center(※3)での臨床パイロット研究開始
  • 2019年 実行可能性試験を実施中、商品を正式に市場に投入予定

(※1)Relevant Healthとは
米国にある、医療機器を取り扱う新興企業を支援する企業

(※2)Techstars Chicago Acceleratorとは
米国シカゴにある、新興企業を支援する大規模な企業

(※3)Tufts Medical Centerとは
ボストンの繁華街にある病院

※参照元:
https://www.neopenda.com/uploads/6/4/3/9/64396077/neopenda_annual_report_2018.pdf
https://www.builtinchicago.org/2019/02/05/50-chicago-startups-watch-2019

設立までの背景

創業者の背景

共同設立者であるSona ShahとTeresa Cauvelはコロンビア大学在学時に出会った。二人は、専攻していたバイオデザインコースの教育プログラムの一環でウガンダに訪問した際に、ウガンダの病院の実情を目の当たりにした。

ウガンダの病院では、病院の設計上市販の医療機器を導入することができず、そのために多くの新生児が命を落としていた。

ウガンダから帰国した二人は、ウガンダのような新興国でも使える医療機器の設計をするためにneopendaを設立した。

※参照元:
https://consciouscompanymedia.com/social-entrepreneurship/31-social-entrepreneurs-watch-2018/
https://republic.co/neopenda

市場背景

WHOの推定によると、世界では250万人の新生児が生後1ヶ月以内に亡くなっている(2017年時点)。

出生初日に100万人、6日以内に100万人弱が死亡し、新生児の約75%が最初の週に死亡している。このような新生児死亡は、約99%が低・中所得の発展途上国で起きている。

死亡の原因のほとんどは合併症や感染症であり、これらの病気の3分の2は早期発見により容易に治療することが可能だ。

このような医療問題を抱える深刻国には、医療機器の市場機会がある。アフリカでの医療機器市場は年間平均6.3%で成長しており、2023年までに71億ドルに達すると予想されている

2015年時点では、ウガンダだけでも医療機器と医薬品に3億4300万ドルが費やされている。

※参照元:
https://www.who.int/pmnch/media/press_materials/fs/fs_newborndealth_illness/en/
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/newborns-reducing-mortality
https://republic.co/neopenda/about
https://www.builtinchicago.org/2018/03/13/neopenda-fights-infant-mortality-wearables

問題点

新生児の死亡を防ぐのに重要なことは病気の早期発見である。新生児の病気を発見するツールとして重要なのが、新生児の健康状態を一括で観察することができる「新生児モニター」である。

しかし、先進国で一般的に使われているゴールドスターモニターは、高価かつ途上国の病院では使いづらい設計だ。

市場機会があるにもかかわらず、新興国特有の価格や病院の設計の問題により、ゴールドスターモニター以外にも市販のほとんどの医療機器は新興国に参入できない。

その結果、一人の看護師が複数人の新生児を監視することになる。そのためケアの質が下がり、新生児の変化に気が付くことができず、予防可能な病気が原因で新生児が死亡する。

※参照元:
https://solve.mit.edu/challenges/frontlines-of-health/solutions/4220
https://www.builtinchicago.org/2018/03/13/neopenda-fights-infant-mortality-wearables

サービス詳細

※neopendaホームページより引用

neoGuard 15台、タブレット1台、および関連するすべてのソフトウェア、電源、アクセサリを含んだパッケージとして販売される。

neoGuard本体とそれに付随するアプリは、最小限の練習で操作できるように設計されているので、誰でも使いこなすことが可能だ。

neoGuardで測定したデータは看護師のタブレットに届き、リアルタイムで新生児の健康状態を確認できる。また、新生児の健康状態がよくない場合はアラートが届くようになっている。

タブレットの画面表示だけでなく、LEDライトの点滅や音により新生児の危険状態を知らせるので、看護師は即座に気づき対応することが可能だ。

さらにこのパッケージは新興国の「病院設備」と「価格」の問題をカバーしている。neoGuardは充電式電池で駆動し、データやアラートもワイヤレスで送信されるため、電源が使えなという問題を抱える途上国の病院でも問題なく使用できる。

そしてこのパッケージは、従来米国で使用されていた1台の機器の半分以下の価格(50ドル)で販売される。現在臨床検証中のため、具体的な価格や販売方法は発表されていない。

※参照元:
https://www.neopenda.com/products.html
https://solve.mit.edu/challenges/frontlines-of-health/solutions/4220
https://republic.co/neopenda
https://www.builtinchicago.org/2018/03/13/neopenda-fights-infant-mortality-wearables

競合について

新生児用医療機器を開発するSnuza(https://www.snuza.com)が競合している。

Snuzaは2007年に会社を設立して以来、生体感覚技術を使用した新生児モニターの開発に注力しており、世界初のポータブルベビー呼吸モニターの導入に成功している。

Snuzaは商品開発後、南アフリカを始め全国に販路を拡大している。

※Snuzaホームページより引用

Snuzaの製品はHero MD(ヨーロッパでのみ利用可能)以外は正式には医療機器に認定されておらず、家庭向けのデバイスだ。

病気や怪我の診断・監視・治療には使用できず、あくまで新生児の行動を監視するにとどまる。

一方でneopendaのneoGuardは医療機器として病院で使用されることを目的としており、呼吸や血中酸素濃度を測ることもできる。

SnuzaのHero MDが新興国に進出しない限りは、新興国の医療市場ではneopendaが優位である。

Neopendaの優位性

Neopendaの優位性は価格と新興国向けの設計である。neoGuardを含むパッケージは、1つで15人の新生児を管理することができるという機能を持ちながら、米国で使用されている同様な機能を持つ機器の半額以下の価格(約50ドル)で販売される予定だ。

また、パッケージに含まれる機器のすべてがワイヤレスで使うことができるという、新興国に特化した設計になっている。

販売開始後は迅速に市場に参入できるように、ウガンダの提携企業を通じて直接病院に販売する予定だ。

また、ウガンダの最前線の現場でしか手に入れることのできない健康データを収益化することも検討している。

※参照元:
https://www.inc.com/vanna-le/30-under-30-2017-neopenda.html
https://republic.co/neopenda

今後の展開

臨床実験が終わり次第、ウガンダでの販売を開始し新興国の医療機器市場へ参入する。

当面はウガンダの新生児の支援に注力するが、そこでの知見を他国や別の団体に拡張することも検討している。

2023年までに12カ国で1600万ドルの収益を上げ、2024年までに新たな商品を市場に投入することが目標だ。

※参照元:
https://republic.co/neopenda
https://www.medgadget.com/2018/06/wearable-vital-signs-monitor-for-newborns-interview-with-neopenda-co-founders-sona-shah-and-teresa-cauvel.html

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