『Xente』ウガンダでモバイル決済アプリを提供

Xenteはウガンダの首都カンパラにあるスタートアップで、携帯端末で支払いを完結させるフィンテック・アプリを展開している。

もともとの会社名はIntel Worldで同社のアプリがXenteだったが、2017年9月に会社名もXenteに改称した。

サービス概要

ウガンダではアフリカの多くの国と同じように、銀行口座はあまり普及していない。そのために従来、遠方にいる家族や親戚にお金を送りたければ、知人に現金を持って行ってもらうしかなかった。

そこに携帯電話が普及したため、携帯送金サービスも非常に盛んになっている。

ウガンダでは携帯電話大手5社が、モバイルマネーといわれる携帯送金サービスを提供している。

Xenteは、最大手のMTN Uganda(*1)で技術者として働いていたAllan Rwakatunguが立ち上げたスタートアップである。事業の主軸は同名のフィンテック・アプリの提供だ。

Xenteアプリをアンドロイド又はiOS端末にダウンロードすれば、すぐにサービスを利用することができる。携帯端末でアプリを見ると、日本のスマホ決済アプリとさほど変わらない見かけである。

ただしダウンロードしただけではベーシック会員で、受けられるサービスは携帯電話通信料やネットショッピング商品代の支払いなどに限定されている。

Xenteの審査を経てプレミアム会員になると、携帯による送受金などもできるようになる。プラチナ会員になれば、個人コンセルジュサービスや購入した商品の送料が無料になるなど、さらに充実したサービスを受けられる。

(*1)MTN Ugandaとは
南アフリカに本拠地があるMTN Groupに属するウガンダの電気通信企業。MTN Ugandaは電気通信会社としてはウガンダ最大で、2017年の数値によれば同国の電気通信市場の55%を占めている。

※参照先:
https://shona.co/allan-rwakatungu-xente/
https://medium.com/@xente_app
https://www.xente.co/accounts

企業基本情報

起業家情報

共同設立者
CEO:Allan Rwakatungu
出身:ウガンダ
学歴:マケレレ大学卒業
年齢:1980年代前半生まれ

共同設立者
COO: Francis Nkurunungi
出身:ウガンダ
学歴:マケレレ大学卒業、エジンバラビジネススクールMBA通信課程在学中
年齢:不明、1980年代前半生まれと思われる

参照先:
https://ug.linkedin.com/in/allan-rwakatungu-17ab73a
https://ug.linkedin.com/in/francis-nkurunungi-7b3b2528
https://www.youtube.com/watch?v=SvnfzlCcR1E

会社概要

サービス提供国:ウガンダ、ナイジェリア
従業員数:12名
ホームページ:https://www.xente.co/
推定資金調達額合計:不明

事業沿革

  • 2014年11月 Intel Worldを4名で設立
  • 2015年 5月 南アフリカ・ケープタウンでのベンチャーコンペSparkup! Live(*2)で6万ドルを獲得
  • 2017年 4月 フィンテック・アプリXenteを公開
  • 2018年11月 ウガンダ国内映画館チケットの予約・支払サービスを開始
  • 2019年 1月 ウガンダ国内バスチケットの予約・支払サービスを開始
  • 2019年 3月 ナイジェリアで正式に営業開始
  • 2019年10月 フランス系建材グループのウガンダにある子会社Hima Cementと提携、建築材料の取り扱いを開始

(*2)Sparkup! Liveとは
2014年から2016年に南アフリカ・ケープタウンで行われていたイベント。スタートアップの起業家が登壇し、エンジェル投資家に自分のプロジェクトを売り込むスピーチをしていた。

参照先:
https://shona.co/allan-rwakatungu-xente/
https://medium.com/@xente_app
https://www.youtube.com/watch?v=SvnfzlCcR1E

設立までの背景

共同設立者のAllan RwakatunguとFrancis Nkurunungiが知り合ったのは2011年のこと。Nkurunungiが友人たちとMobiVISAというサービスを始めたのがきっかけだった。

これは携帯送金サービスからネット上の仮想VISAカードを経由して、ネットショッピングの代金を支払うサービスだったが、Rwakatunguがこれに興味を持ったことが、後にIntel World(現Xente)を共に設立する伏線になる。

Rwakatunguの前職はMTN Ugandaだった。同社はウガンダ最大の携帯電話会社であるばかりでなく、ウガンダにおける携帯送金サービスの約8割を押さえている。

Rwakatunguは同社で携帯送金サービスを担当し、このサービスがアフリカの商取引を一変させる可能性を痛感し、その可能性を自前で開拓したいと起業の道を選んだ。

Rwakatunguは当初、需要がどこにあるかも分からなかったと回想する。オンラインでスポーツくじを販売したり、Rwakatunguの古巣であるMTNやそのライバルの携帯会社Airtel(*3)向けにソフトウェア開発をしたこともある。

RwakatunguはXenteの公式サイトにアップされた動画で、Xente社の存在理由を説明するなかでウガンダが、そしてアフリカが経済的に成長するためにはアナログ経済からデジタル経済への転換が必要だと強調している。

(*3)Airtelとは
南アジアやアフリカで事業を展開している、インド系Bharti Airtelグループに属するウガンダの電気通信企業。

参照先:
https://www.youtube.com/watch?v=SvnfzlCcR1E
https://www.facebook.com/MobiVisa-222585984464487/
https://shona.co/allan-rwakatungu-xente/
https://www.xente.co/home/about

引用先:
https://shona.co/allan-rwakatungu-xente/

市場背景

Global Entrepreneurship Monitor(*4)が行った2015年の調査によれば、ウガンダは世界で一番起業家が多い国である。成人人口の28.1%が起業家だという。

もっともこれはウガンダで就職するのが難しいことの裏返しだ。ウガンダには外資企業はあまり入っておらず、現地企業も育っていない。

そのため、毎年労働市場に参入する40万人の若者が、9千ほどの勤め口を奪い合っている。就職できなかったから一つ起業でもしてみるか、というのは自然な流れなのである。

ただし起業は簡単だが、立ち上げた会社を維持していくのが容易なことではないのもまた事実だ。

ウガンダではモバイルマネー口座の保有率が51%で、アフリカ屈指のフィンテック大国ケニアの73%には及ばない。

しかしウガンダにもフィンテック関係のスタートアップは70社近く存在していて、その47%がモバイルマネーに関係している。

しかしウガンダ政府の政策は、民間のフィンテックへの取り組みに必ずしも追いついていない。それどころか政府は2018年にはモバイルマネー税(当初の税率1%が現在は0.5%)を導入し、業界関係者の不評を買った。

ウガンダのフィンテック業界は、モバイルマネーはアフリカ経済の8割以上を占める非公式経済を可視化し、課税することを可能にする技術なので、これに対して課税するのではなく、むしろ奨励すべきだという立場である。

Rwakatunguもロンドンで第9回英国ウガンダ・フィンテック部会(*5)に出席して、そのような趣旨の訴えを行っている。

またその際に彼はモバイルマネーが、アフリカ諸国で蔓延する汚職に対する有効な対策手段になる点も強調した。

(*4)Global Entrepreneurship Monitorとは
グローバル・アントレプレナーシップ・モニター、略してGEM。米国バブソン大学と英国ロンドン大学ビジネススクールのプロジェクトチームが「正確な起業活動の実態把握」、「各国比較の追求」、「起業の国家経済に及ぼす影響把握」のために1999年から毎年実施している調査。

(*5)第9回英国ウガンダ・フィンテック部会とは
2019年9月11日・12日、ロンドンで開催された第9回英国ウガンダ貿易・投資会議の分科会。

参照先:
https://www.theguardian.com/global-development-professionals-network/2016/feb/16/uganda-is-a-land-of-entrepreneurs-but-how-many-startups-survive
http://www.soumu.go.jp/main_content/000621021.pdf
https://www.jica.go.jp/information/seminar/2018/ku57pq00002jduyx-att/20190301_01_01.pdf
https://www.youtube.com/watch?v=pAlvXY2iFWo
https://medium.com/betterthancash/how-digital-payments-can-transform-african-economies-be27140e007e
https://medium.com/@xente_app

サービス詳細

個人向けサービス

アプリ会員には3種別があり、それぞれ条件が異なっている。アプリをダウロンードするだけでベーシック会員になれるが、プレミアム会員やプラチナ会員になるには個人情報の提供とXenteによる審査が必要である。

ベーシック

  • 携帯通話料やその他の手数料・料金の支払い
  • チケット予約
  • ショッピング(携帯電話、電気製品、鞄など)
  • モバイルマネーによる支払い
  • ウガンダ発行のVisa及びMastercardによる支払い
  • 友人紹介1人につき1000ウガンダ・シリング(*6)のキャッシュバック
  • 取引1回ごとのキャッシュバック
  • モバイルマネーによる取引は1日5万ウガンダ・シリングが上限
  • Visa及びMastercardによる取引は1日5万ウガンダ・シリングが上限

プレミアム

  • ベーシックのサービスに下記が追加される。
  • 年会費2万5千ウガンダ・シリングでXente Visa Cardに加盟可能
  • 融資申請可能
  • 送受金が可能
  • モバイルマネーによる取引は1日20万ウガンダ・シリングが上限
  • Visa及びMastercardによる取引は1日20万ウガンダ・シリングが上限

プラチナ

プラチナのサービスに下記が追加される。

  • Visa及びMastercardの国際版による支払い
  • 個人コンセルジュサービス
  • 商品の送料無料
  • モバイルマネーによる取引は1日200万ウガンダ・シリングが上限
  • Visa及びMastercardによる取引は1日200万ウガンダ・シリングが上限

企業向けサービス

送金サービス

  • モバイルマネー口座及び銀行口座へ数秒で送金
  • モバイルマネー及び Visa及びMastercardによる受金
  • 送受金報告及び記録管理
  • 送受金先の個人及びグループの管理
  • 二段階認証・認可
  • 上申機能
  • 電子メールアドレス、SMS、WhatsAppへの通知
  • 自動引落し対応

携帯通話料金の送金

  • 携帯電話番号へ数秒で通話料金を送金
  • アフリカのすべての電気通信企業に対応
  • 送金報告及び記録管理
  • 送金先の個人及びグループの管理
  • 二段階認証・認可
  • 上申機能
  • 電子メールアドレス、SMS、WhatsAppへの通知
  • 自動引落し対応

Uberとの提携サービス

  • Uberとの提携により、世界のどこでも配車サービスが利用可能
  • 支払いは月末一括払い

(*6)
ウガンダ・シリング=0.03円、2019年12月13日現在

※参照元:
https://www.xente.co/accounts

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