『Letstransport』ディップベンチャーズが提供するトラック物流

DIPTAB VENTURES(ディップベンチャーズ)は2015年、インド工科大学の卒業生Pushkar Singh氏(CEO)とSudarshan Ravi氏、Ankit Parasher氏により創業された。

オンラインで24時間手配できるBtoB/BtoCトラック物流サービス「Letstransport」を運営。サービス自体の正確さ、安さ、簡易なユーザーインターフェースで急成長している。

サービス概要

Diptab Venturesgaが提供するのは、UBERの仕組みを利用した物流サービスである。ドライバー(トラック)と荷主(荷物)のマッチングプラットフォーム、Letstransportを提供している。

インドの特に都市部における配送のボトルネックとなっている「ラストワンマイル」の配送に重点を置き、ITを活用した高効率、低コスト配送サービスを実現し、インド物流課題の解決を図るためのソリューションの提供をしていると言える。

また、同社ではSingh氏が大学時代から研究していた経路最適化アルゴリズムを活かしており、毎日AIに大量のデータを学習させることでサービスの向上を図っている。

企業基本情報

起業家情報

代表:Pushkar Singh
出身: インド出身
学歴:インド工科大学カラグプル校
生年月日または年齢:30歳(2019年時点)
その他 : Forbes 30 Under 30 Asia | Business world, Tech Czars2018

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:インド(バンガロールを中心とするインド9都市でサービス展開中)
従業員数:27
ホームページ:https://www.letstransport.in/
推定資金調達額合計:およそ2030万ドル

事業沿革

  • 2015年4月 : インド大手物流企業に勤めていたインド工科大学の卒業生Pushkar Singh氏が中心となり、同大学卒業生のSudarshan Ravi氏、Ankit Parasher氏により創業された。
  • 2015年8月 : 日本のベンチャーキャピタルであるRebright Ventures Partnersから130万US$の資金調達に成功した。
  • 2017年1月 : NB Venturesから400万US$を資金調達した。この投資にはGMO Venture Partnersや2015年時点で投資をしていたRebright Partnersも参加している。また、ドバイの地場大手企業からの資金調達も完了している。この時点で、インドの11都市まで営業を拡大させることを目標としていることをSingh氏が明言している。
  • 2018年1月以降 : 新たな資金調達ラウンドに突入し、合計1500万US$の資金調達を行った。同年2月時点で既に、日本に本拠地を置く三井住友海上キャピタル株式会社、CBC株式会社、Flex Incを含む新規投資家から200万ドルを受領していたとみられる。
    また、同時期の営業地域は、ニューデリー、バンガロール、チェンナイ、およびティルチラパッリ(タミルナードゥ州)であった。
  • 2019年7月 : 日本のスパークス・グループ株式会社が2015年に設立した未来創生ファンドが投資を実行したことを明らかにしている。
    現時点でのインド都市部における営業地域は、インド9都市まで拡大している。

※参照元:
https://www.vccircle.com/exclusive-new-and-existing-investors-to-back-logistics-startup-letstransport
https://assets.minkabu.jp/news/article_media_content/urn:newsml:tdnet.info:20190722473923/140120190722473923.pdf

※未来創生ファンドについて
未来創生(1号)ファンドはスパークス・グループ株式会社を運営者とし、トヨタ自動車株式会社、株式会社三井住友銀行を加えた 3 社による総額約 135 億円の出資により、2015 年 11 月より運用を開始している。2018 年下半期以降、新たに「電動化」、「新素材」を投資 対象とした未来創生2号ファンドの運用を開始しており、2019 年 6 月末時点の運用資産残高は1 号と2号を合わせ、1093 億円となっている。

※引用元:
https://assets.minkabu.jp/news/article_media_content/urn:newsml:tdnet.info:20190722473923/140120190722473923.pdf

設立までの背景

創業者の背景

上述したが、創業者のPushkar Singh氏はインドの大手物流メーカーに勤務していた(2013年~2015年)。そこで彼は、インドの物流、特にラストマイルの配送が非常に非効率であることに気づいた。

市場背景

インドの物流市場は大きく、2013年には1100億ドルだった市場であるが、2020年には2000億ドルに及ぶことが予測されている。その大きな理由としては、2点あると考えられる。

コールドチェーンの発達

1点目は、コールドチェーンの発達である。コールドチェーンとは、物の生産現場から消費者の手に届くまで、低温管理を保って流通させる方法のことである。

インドの急速な人口増加に伴い食料の流通が課題の一つになっている。多くの人に多くの食料を安全に届けるためには欠かせない技術である。

この市場がコールドチェーン市場も2017年35億ドルほどであったが、2022年には68億近くまで成長すると考えられている。

ECの普及

もう一点は、一般的な市民でも1万円程でスマートフォンを手に入れることができるようになり、誰でもインターネットにアクセスすることができるようになってきていることである。

それに伴い、EC市場が急速に拡大しており、2013年~2015年の国別のオンライン小売サイトの成長ランキングでは中国が23%であるのに対し、インドは68%と爆発的に成長していることが分かる。

24歳以下の若者の割合は全人口の半分近くと、特に若年層が中国等の国々に比べても多いこともあり、国全体におけるインターネット利用率が高いことも市場規模拡大の要因であるだろう。

すなわち、それだけ物流にかかる負担が大きくなっている状況であるということは自明である。

現在の市場の問題点

上述しているが、インドの物流市場は急速に拡大しているにもかかわらず、なぜか物流業界では対応ができていないことが大きな問題である。

これについてSingh氏は、以下のように語っている。

“Even today, when the recent wave of digitization has almost completely engulfed all industries, little has been done in the fieldof logistics. There’s a significant lack of visibility within supply routes, creating bottlenecks andmaking the whole process more time-consuming, erroneous, and inefficient. Shipments are susceptible to a range of challenges, including low tractability, vehicular breakdown, disorganised supply itinerary, excessive idling, and ineffective last-mile delivery.”

“今日でさえ、最近のデジタル化の波がすべての産業をほぼ完全に飲み込んでいるにも関わらず、ロジスティクスの分野ではほとんど何も行われていない。供給ルート内における見える化が大幅に遅れているため、そこにボトルネックが発生し、プロセス全体でより時間がかかってしまい、エラーが発生し、非効率になってしまう。積荷は、その扱いにくさや、(配送)車両の故障、供給計画の混乱、過剰なアイドリング、および効果的なラストマイル配送など、さまざまな課題の影響を受けやすくなっている。”

※ 引用元:
https://www.entrepreneur.com/article/304887

つまり、技術的な革新がインド物流業界ではまだ行われておらずGPSトラッキングなどですら導入ができていない。すなわちデータが存在せず、それに伴いデータの活用もできていないことが問題なのである。

サービス詳細

Letstransportは、家具の購入、電子機器などの日常的な配送に都市内物流ソリューションを提供する。具体的には、荷主とドライバーのマッチングである。

配達を依頼する荷主は、会社のオンラインプラットフォームを使用し、配達先と受け取り先の距離に応じた見積から事前にトラックを予約することができる。

また配達中はトラックにつけられたGPSによりリアルタイムでトラックの位置情報を把握することが可能である。

※Letstransportホームページより引用

最初の数キロメートル(都市によっては3〜5 km)に基本料金を請求し、その後は1kmごとに25ルピーを請求する。最初の60分間の待機時間には料金がかからないが、その後、1分ごとに2〜3ルピーを請求する。基本運賃とその後の費用は都市によって異なる。

※Letstransportホームページより引用

一方ドライバーは自分の情報、例えば名前や車両番号等をあらかじめ登録することでいつでも配送を請け負える状態になる。(ちなみにこのサービスの開始後、約2万人がトラック運転手として新たに職を手にしたという情報もある)

つまり、顧客(荷主であるAmazonなどの企業)は最小限の配送コストで済み、トラックドライバーも時間の有効活用が可能である。すなわち両者にとって限界的なコスト管理を行うことができる仕組みが出来上がっている。

※参照元:
https://www.youtube.com/watch?v=NNCkoAXXKjY
https://letstransport.in/
https://www.vccircle.com/vodafone-may-exit-indus-towers-hdfc-eyes-control-of-canara-bank-unit

競合について

インドのテクノロジー対物流企業大手のrivigoなどが先を走っており、2016年には7500万ドルの資金の調達に成功している。

これは決してネガティブな事ではなく、上述した通り、インドの最もホットな分野が現在物流であることを意味しているのである。

また、ラストワンマイルという市場に目を向けて特化したサービスを展開する企業は他にほぼ存在せず、インド工科大学で培った経路最適化のアルゴリズムをAIによりさらに学習させ、成長させることができる企業は他に見当たらない。

サービスの優位性

そもそも大企業が自社で持つ流通システムではその高いコストに見合った供給システムを提供できていない。

流通網が最適化されておらず、また需要の急増に対応も困難である。それにより在庫切れにより売り上げの15%を失っているというようなことが生じている。

強みの1つは高い技術力である。Letstransportでは、AIにデータを学習させることで経路最適化を図っている。

その根底には、彼らが持つ高度なAI技術がある。インドにおけるラストマイル物流業者の配送は、15%がなにかしらの事情で受け取りに失敗して届けられずにいるが、Letstransportでは 99.7%の配送率を達成している。

また、Amazonやコカ・コーラなど大企業顧客を多く抱えていることで、その要望に応じてほかの都市への随伴進出が可能となり、インド全土にオペレーションを拡大していくことができている。

※参照元:
https://letstransport.in/
https://thebridge.jp/2017/01/indian-logistics-startup-letstransport-raises-us4m-funding-20170124

今後の展開

今後はさらにインド銭気に事業を拡大していくことが考えられる。現在9都市での営業にとどまっているが、CEOであるSingh氏が明言している通り少なくとも11都市への拡大が喫緊の目標であるだろう。

そして、Amazonなどの大企業が顧客となることでオペレーションの拡大が可能になりつつあり、加えてインド経済の発展により今後さらに加速していくことが予想される。

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