『OYO』世界第2位の客室数を誇るホテルチェーン!6年でここまで上り詰めたIT戦略

OYOはインド発のホテルチェーンを運営するスタートアップである。

サービス概要

OYOは、創業からわずか6年で世界2位の客室数を誇るフランチャイズ式のホテルチェーンである。AIやテクノロジーの活用により、客室の獲得や価格の最適化、清掃客室数の増加などを行うことで、これほどの急成長を遂げている。

OYOでホテルを予約するには、アプリをインストールし、宿泊場所を入力し、好みのホテルを選ぶだけだ。宿泊料金はホテルごとに異なる。インドや東南アジアをはじめ、ヨーロッパ、アメリカでもOYOブランドのホテルを予約し宿泊することが可能だ。

また日本ではOYO LIFEという不動産サービスも展開している。OYO LIFEで物件を借りる場合、敷金礼金不要、家具家電付きで、わずか30分で部屋探しから入居前手続きが完了する。具体的な手順は、ウェブサイトで部屋を予約し、決済して契約完了だ。

※参照元
https://www.oyolife.co.jp/

企業基本情報

起業家情報

代表:Ritesh Agarwal
出身:インド ニューデリー
学歴:University of London
年齢:25歳(2019年7月28日時点)

会社概要

企業価値:1兆円以上
サービス提供国:インドを中心に18カ国で展開
従業員数:12,865人
ホームページ:https://www.oyorooms.com/
推定資金調達額合計:17億ドル

事業沿革

  • 2013.4 Ritesh AgarwalがThiel Fellowshipに採用
  • 2013.5 会社設立
  • 2014.2 シードラウンドでDSG Consumer Partners(※1)とLightspeed Venture Partners(※2)から資金調達
  • 2014.6 シードラウンドでDSG Consumer PartnersとLightspeedから資金調達
  • 2015.2 シリーズAラウンドでGreenoaks Capital(※3)など3社から資金調達
  • 2015.7 シリーズBラウンドでSoftBankなど4社から100,000,000ドルの資金調達
  • 2016.8 シリーズCラウンドでSoftBankなど4社から90,000,000ドルの資金調達
  • 2017.9 シリーズDラウンドでSoftBank Investment Advisersなど5社から250,000,000ドルの資金調達
  • 2017.9 コーポレートラウンドでHuazhu Hotels Group(※4)から250,000,000ドルの資金調達
  • 2018.5 チェンナイを拠点とするサービス付きアパート運営企業Novascotia Boutique Homesを買収
  • 2018.7 ムンバイを拠点とするIoT企業AblePlus Solutions Pvt. Ltd.を買収
  • 2018.8 ウェディング業者およびベンダーのオンラインマーケットプレイス企業Weddingzを買収
  • 2018.9 シリーズEラウンドでSoftBank Investment Advisersなど3社から1,000,000,000ドルの資金調達
  • 2018.12 シリーズEラウンドでGrabから100,000,000ドルの資金調達
  • 2019.2 シリーズEラウンドでDidi ChuxingとSoftBank Investment Advisersから100,000,000ドルの資金調達
  • 2019.3 デリーを拠点とするコワーキングスペース企業Innov8 Coworkingを30,000,000ドルで買収
  • 2019.3 日本でヤフー株式会社と合弁会社を設立し、OYO LIFEの開始
  • 2019.4 シリーズEラウンドでAirbnbから資金調達

(※1)DSG Consumer Partnersとは
インドや東南アジアで活動するシンガポールのベンチャーキャピタル。

(※2)Lightspeed Venture Partnersとは
米国サンフランシスコのベンチャーキャピタル。136ものイグジット実績があり、投資企業にはGrubhubがある。

(※3)Greenoaks Capitalとは
米国サンフランシスコのベンチャーキャピタル。投資企業にはDiscordがある。

(※4)Huazhu Hotels Groupとは
中国上海のベンチャーキャピタル。

※参照元
https://www.crunchbase.com/organization/oyo-rooms#section-current-team
https://www.facebook.com/riteshagarwall/about?section=overview&lst=100038597918311%3A1060931896%3A1564403607
https://japan.cnet.com/article/35140075/
https://jp.techcrunch.com/2019/07/20/2019-07-19-indias-oyo-valued-at-10b-after-founder-purchases-2b-in-shares/
https://www.oyorooms.com/about
https://craft.co/oyo-rooms
https://www.oyorooms.com/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000041664.html

設立までの背景

OYOは、弱冠19歳のインド人Ritesh Agarwalという青年により創業された。

Agarwalは8歳の頃よりプログラミングの学習を始め、16歳の頃にはAsian Science Campという科学討論のフォーラムに参加する240人に選出されるほどの才能の持ち主だ。

Agarwalはこのフォーラム中の暇な時間を利用し、頻繁に旅行をしてホテルに泊まったり、起業家と会うためのカンファレンスに参加したりした。さらにスタートアップに関する文献も読み漁り、特にAirbnbについて詳しく調べていたという。

頻繁に旅行してホテルに宿泊したことで、インドのホテルが低品質であることに課題を見出したAgarwalは、2012にOravel Staysというインド版Airbnbのようなスタートアップを創業した。

また同じ時期にThiel Fellowship(※5)に応募し、見事に選出され100,000ドルを獲得した。これにより自信をつけたAgarwalはより一層スタートアップに打ち込んだ。

しかし、Agarwalに経営の経験が乏しく、プロダクトマーケットフィット(※6)を達成できなかった。結果として、顧客からOravel Staysに対する信頼を得ることができず、やめる結果となってしまった。

その後にAgarwalは熟考を重ね、旅行者にとっての最大の課題は、高品質なホテルを探すのではなく、最低限の品質を満たしたホテルを探す体験にあることに気づいた。

当時のインドのホテルの現状は、最悪の品質であり、ホテルのスタッフも最悪であったので、マシなホテルを見つける事が重要であった。

この気付きによりAgarwalは、最低限の品質を担保したホテルだけを掲載したウェブサービスを立ち上げた。

単なるマッチングであったOravel Staysのビジネスモデルを、フランチャイズ方式に変更し、OYO Roomsをローンチしたのだ。

(※5)Thiel Fellowshipとは
PayPalを創業しFacebookを含むテック企業に投資をしてきた実業家ピーター・ティールの主催する若手起業家育成プログラム。毎年20人から30人が選出され、2年間のプログラムで100,000ドルの補助金を受け取ることができる。応募条件は22歳以下であることや大学を中退することなどがある。

(※6)プロダクト・マーケット・フィットとは
顧客の課題を解決するプロダクトを提供し、市場に受け入れられている状態のこと。略称は「PMF」。

※参照元
https://www.yosuccess.com/success-stories/ritesh-agarwal-oyo-rooms/
https://yourstory.com/2017/07/indian-ceos-bouncing-back

なぜサービスが拡大したのか

OYOが短期間で世界2位のホテルブランドにまで成長した理由は以下の3つに分けてみる必要がある。

  1. インド市場
  2. フランチャイズ方式
  3. IT戦略

インド市場

インドの人口は2017年時点で13.39億人に到達し、中国にも迫る勢いで人口増加を続けており、GDPは2.597兆ドルで毎年6.6%の急成長を遂げている。

しかしながらインドで提供されるサービスの品質は決して高いものとは言えず、ホテル業界もまたしかりだった。

Agarwalは、低品質でコスパに見合わないホテル業界の課題を見出したことで、これほどまでの急成長を遂げたのだ。

フランチャイズ方式

OYOのビジネスモデルはフランチャイズ方式であるため、自社でホテルを保有する場合と比べると短期間で客室数を増加させることが可能だ。

OYOのフランチャイズ方式は、ホテル経営のノウハウやリソースを提供する代わりに、ホテル側から売上の10%の手数料を得るというモデルである。

OYOは”最低限の品質を保証しているホテル”と言うイメージを顧客に持たせて、結果的にOYOに加入する事で予約数は伸びる。OYOのアプリでもOYOのホテルのみが検索できる様な仕様になっている。

以下の動画はOYOがスタッフへ提供する接客サービスの動画だ。

IT戦略

OYOはIT戦略による効率化で、客室は毎月9万室というハイペースで増加しており、世界80カ国に110万客室を擁している。これを実現できる背景には、OYOの持つ膨大なデータベースがあるという。

以下の様なコメントがわかりやすい。

なぜ、これほどのスピードで客室を増やせるのか。それは同社がもつ1億を超えるデータや、全世界1000万以上のビルデータベースなどを活用して、通常は半年から1年かかる物件の契約までの時間を最短で会議3回、長くても5日間まで超短縮している

引用: CNET Japan https://japan.cnet.com/article/35140075/

膨大なデータベースを構築できた背景には、OYOの最大の特徴である人工知能(AI)を用いた高い技術力がある。

AIの活用には学習と推論というステップが存在し、学習には膨大なデータベースが必要とされる。資金調達した膨大な資金を元手に、世界でフランチャイズ展開する為のデータ収集を効率的に行った。

IT戦略による効率化は客室の獲得だけに留まらない。客室に置く家具の種類やデザイン、壁面の素材や絵画に至るまで全てアルゴリズムによる最適化を行っている。

さらに1日5,000万件もの客室をAIにより微調整したり、従業員向けの客室清掃管理アプリによって1人あたりの清掃客室数を2.5倍にしたりするなど、細部まで抜かりがない。

※参照元
https://www.census.gov/glossary/#term_Populationestimates
https://japan.cnet.com/article/35140075/
https://www.google.com/publicdata/explore?ds=d5bncppjof8f9_&met_y=ny_gdp_mktp_cd&idim=country:IND:GBR:CAN&hl=ja&dl=ja
https://www.google.com/publicdata/explore?ds=d5bncppjof8f9_&met_y=ny_gdp_mktp_kd_zg&idim=country:IND:USA:PAK&hl=ja&dl=ja
https://forbesjapan.com/articles/detail/26543
https://note.mu/rollingstone/n/nc4d9dbf7075c

今後の展開

OYOは今後の展開として、不動産業界やコワーキングスペースへの参入を開始している。

不動産業界はホテル業界の10倍の市場規模と言われ、日本の賃貸不動産業市場は12兆円の大きな市場である。

不動産産業市場への第一歩として、日本でヤフー株式会社と合弁会社を設立しOYO LIFEというサービスを開始している。

またインドでは既にコワーキングスペースの市場にも参入しており、OYO Workplacesというサービス名で10都市20以上の拠点が運営され、1万5000人以上が利用できる。

2019年3月には16拠点を持つコワーキングスペースのスタートアップInnov8を3000万ドルで買収もしている。

さらにOYOは2023年までに世界最大のホテルチェーンになるという野望を持っている。OYOは現在、東南アジアを中心に事業展開を行っているが、中国やヨーロッパ、米国にも既に進出している。

また現在提供しているお手頃価格の客室だけに留まらず、ラグジュアリーなホテルの提供も開始しているということだ。

※参照元
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/fb6b751c20a44022.html
https://jp.techcrunch.com/2019/07/19/2019-07-16-oyo-workspaces-innov8/
https://yourstory.com/2019/07/accel-podcast-ritesh-agarwal-oyo-anand-daniel
https://thebridge.jp/2019/03/softbank-funding-oyos-huge-ambitions-extend-hotel-bookings

最新情報をチェックしよう!