『Carsome』自動車売買のCtoBモデル!個人が法人に車をオークション!

Carsomeは東南アジア、マレーシアのプタリン・ジャヤに本社を構える中古車市場関連のスタートアップ企業である。個人、または法人所有の車を中古車ディーラー向けに販売するプラットフォームを提供し、CtoBのビジネスモデルで事業を展開している。

サービス概要

個人が自分の車を販売しようとするとき、無数の手続きが必要なのが通例である。また販売しようとする者は、少しでも高く売りたいと考え、それを買おうとする者は少しでも安く買いたいと考えるのも通例である。

Carsomeはこれをオンライン入札ポータルを通じて実現している。個人が国内のディーラーに直接、カーオークションによって販売できるようにし、手続きもオンライン上で行うことで簡素化、無償で最小限の労力によって自分の車を販売できるようなサービスを展開している。

事前に自社の検査チームがプラットフォーム上に公表される前に検査を行っており、そのコンディションを担保している。現在のところ、同社のモデルはCtoBに特化しており、BtoB、BtoC型のビジネスは展開していない(※1)。

Carsomeはこのモデルを利用することで24時間以内に自分の車を販売することが出来、またその価格は平均下取り価格よりも最大で20%高くなる可能性があるとしている。

(※1)2019年現在。今後自動車販売に関する金融商品を販売する可能性が示唆されている。また法人が所有する車も登録できるため、その意味においてはBtoBビジネスモデルも含まれると定義することも可能。

企業基本情報

起業家情報

代表:CEO兼共同創始者エリック・チェン(Eric Cheng)
出身:マレーシア
学歴:サンウェイ大学(マレーシア)でACCAを取得

※ACCAとは
The Association of Chartered Certified Accountants(英国勅許公認会計士)の略

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア
従業員数:251-500
企業理念:Not only Fast,Free,and Fair,but also Full Transparent(早く、無料で公正だけでなく、完全な透明性をもって)

事業沿革

  • 2015.2  CEOエリック・チェンとCOOジンイーテオ(Jiun Ee Teoh)によって設立。当初は新車の価格比較サービスとして事業を開始。
  • 2015.8 シードラウンドで350,000米ドルの資金調達。現在のビジネスモデルに方針を定める。
  • 2016.3 IdeaRiverRun他2社からシリーズAラウンドで2,000,000米ドルの資金調達。
  • 2017.6 Gobi Partners他4社からシリーズBラウンドで6,000,000米ドルの資金調達。
  • 2018.3 Burda Principal Investments他4社からシリーズBラウンドで19,000,000米ドルの資金調達。2017年の事業開始以来月間の取引額と総自動車販売台数は4倍以上となっている。
  • 2019 Carsomeプラットフォーム上で31,000台以上の取引が四か国で行われている。

※参照元
https://thebridge.jp/2018/03/carsome-series-b
https://www.digitalnewsasia.com/startups/carsome-raises-us19mil-possible-ipo-3-5-years
https://www.crunchbase.com/organization/carsome#section-overview

設立までの背景

創始者であるチェン氏はマレーシアのサンウェイ大学にて会計士として勉強をしていたが、経理が自分の目指すものではないと見定め、同大学をドロップアウトした。

退学後は「生計を立てるために様々なことに挑戦した。」とインタビューで語っている。

最終的にInnityというオンラインマーケティング会社で会計ディレクターとなったが、ここが共同創始者であるテオ氏との出会いの場所となった。

チェン氏はスティーブ。ジョブズに感化された起業家思想をすでに持っていたが、それはテオ氏も同様であった。2014年3月ごろにチェン氏はCarsomeのアイデアを思い付いたという。

それは先述のとおり新車の価格比較サービスの形ではあったが、このころからすでに現在のCarsomeのビジネスモデルの中心となった、消費者が自動車を購入する際の煩雑な手続きをオンライン上で簡素化するということがビジネスのカギになると考えていた。

設立当初~サービス拡大

自動車の購入がとてもワクワクするものであるのと同時に、悩ましい点も多く存在するということを二人は見抜いていた。

例えばディーラーに行って、セールストークを交わし、その車が価格に合ったものなのかを議論することだ。しかも何社もディーラーがあるなかで繰り返しそれを行うのは消費者にとって苦痛でしかないということである。

徹底した市場調査を行った二人は消費者とディーラーの双方の希望をくみ取り、現在の形とは異なるBtoC型となる自動車購入のプラットフォームを立ち上げた。ディーラーがもつ自動車の価格を消費者がオンラインで比較し、購入の参考にするためのWebサイトサービスである。

二人の持っていた資金のすべてを投入して稼働を始めたこのサービスは、月ごとに100%の成長率という急激な発展を遂げた。

そして彼らがさらに事業を拡大するために考えたことは、消費者の立場から見て、「売る」というシステムを確立するということだった。彼らの検査チームを立ち上げ、消費者の車を無料点検し、ディーラーにオファーする。

売り手が用意するのは連絡先詳細のみ。全体の取引にかかる時間は30分以内。現在のCarsomeの根幹のビジネスモデルは事業開始から半年ほどでそのひな形が生まれていたのである。

彼らがその時までに行っていたBtoC型のビジネスモデルからCtoB型にモデルチェンジした理由として、まず挙げられるのは一般の個人の立場に立ってビジネスを展開するという考えに固執したからである。

前述のとおり、Carsomeの第一歩は自動車業界では消費者である一般個人が必要最低限の労力で、後悔することなく自動車を購入するためのシステムを作るという観点から出発している。

2019年現在でも持ち続けている消費者の目線で考えるというスタンスがこのような消費者から企業へ、という流れを構築するに至ったのである。

もう一つ重要なことは、同時期にはオンライン上にてライバル企業がすでに同じマレーシアに存在したということである。

後述するiCar Asiaがそれである。Carsomeも現在ではデジタル化された中古車販売プラットフォームの先駆者として認識されているが、同社立ち上げ時にはすでにiCar Asiaは東南アジアの自動車販売市場において巨人というべき立場を確立していた。

だが、その事業内容は典型的なBtoC型ビジネスモデルであり、徹底的に市場を分析したと語るCarsome創始者の二人が、このiCar Asiaと異なる形を模索しただろうということは想像に難くない。

シード資金調達からほぼ一年ごとに資金調達のラウンドを上げていくことに成功。その資金の多くは検査センターの増設を含めたチームの強化、IT技術投資などに加え、ブランドの認知の強化や自動車向けの金融商品の開発にあてられている。

チェン氏は今後5年以内でのIPOの可能性も示唆しているものの、現在のところ可能な限り事業を成長させることに注力している。

参照元
https://www.malaymail.com/news/drive/2015/07/09/carsome-the-website-that-will-revolutionise-the-way-you-buy-and-sell-cars/930155
https://www.digitalnewsasia.com/startups/carsome-raises-us19mil-possible-ipo-3-5-years
https://www.digitalnewsasia.com/business/carsome-expands-across-malaysia
https://www.digitalnewsasia.com/startups/carsome-all-set-new-services-expansion-new-markets-and-funding-round

「Carsome」拡大の秘訣

一般の個人からディーラーに向けてのビジネスという、類を見ないオンラインサービスであるという独自性もさることながら、ここまで発展を遂げた最大の理由としては、東南アジアにおける自動車販売業界においてデジタル化されたビジネスの先陣であったこと、さらには車販売における法的手続きを含んだ一切をセットにして提供するサービスの簡便さが挙げられる。

またサービス開始からほどなくして東南アジア最大の中古車取引プラットフォームと呼ばれるようになったCarsomeの急激な成長は、同地域における自動車需要の成長とも合致しており、推計によると2016年の新車販売台数は前年比3.1%、2017年では8.1%、2018年では5.5%、2019年では6.7%と、堅実に増加しており、それにともなって中古車への需要も増加していたと考えられる。

加えてCarsomeでは中古車ディーラーが車を買い取る場合には、日本と同様にオークションによる方式を採用しているのだが、日本やアメリカといった中古車市場が成熟した国々では75%がオークションであるのに対して東南アジアでは5%未満に過ぎず、この分野においても先進的に取り組んであるのも強みである。

※参照元
https://www.marklines.com/ja/report/rep1826_201902
https://www.iist.or.jp/jp-m/2018/0279-1077/

今後の展開

市場においてもそのビジネスモデルが好意的に見られているCarsome。近々にも巨額の資金を調達し、目の前には成長を続ける超巨大市場がその機会を待っており前途は洋々にも見える。

しかし、同社が漕ぎ出している大海はまた、まぎれもないレッドオーシャンでもある。ASEANの中でも大きな自動車需要のあるインドネシアではBeliMobilGueというスタートアップが2018年1月に3,700,000米ドルという巨額の資金をプレシリーズAラウンドで調達した。

同社はCtoC型の中古車取引ビジネスのオンラインプラットフォームを展開しており、この資金は隣接する市場への進出のためである。オンライン取引のみに焦点を当てており、Carsomeよりも身軽である。

同国のマレーシアにも同種のiCar Asiaは新車・中古車を含めた総合自動車販売ポータルを展開しており、Carsomeと同じく東南アジア諸国に進出している。

BMIによると巨大な市場であるものの市場に進出するのが難しい業界とも言われており、また近年では堅実に成長を続けているものの、東南アジアでは2013年から2015年にかけて350万台から300万台という急激な自動車販売台数の下落を記録しており、他にもアメリカ中国間の貿易衝突など世界経済情勢に起因する懸念事項は多い。

消費者がいかに手軽に、後悔のない取引ができるかという点に焦点をおいてビジネスモデルを構築したCarsome。その視点は広く受け入れられ、大きく成長して東南アジア最大の中古車販売プラットフォームと呼ばれるにいたった。

あくまで消費者目線でサービスを展開する同社に対して期待は大きいが、その動向には大きな変化が訪れる可能性もあり、注視する必要がある。

※参照元
https://www.belimobilgue.co.id/home/
https://www.icarasia.com/

最新情報をチェックしよう!