『iflix』マレーシア発のネット動画配信!オン・デマンドの映像ストリーミングサービスで東南アジアや中東で急成長!

iflix(アイフリックス)は、マレーシアの首都クアラルンプールに拠点を置き、東南アジアや中東の新興国市場でサブスクリプション型の動画配信を行っている。新興国のアクティブ・デジタルユーザーをターゲットに、多言語のローカルコンテンツを積極的に展開している。

サービス概要

新興国では、中間層が今後数年のうちに10億人に膨らむともいわれる。Iflixは、こうした中間層や若年層をターゲットとし、東南アジアを中心に太平洋・中東地域でサービスを提供している。

配信コンテンツは、欧米のTV番組・映画(ワーナー、ディズニー、ユニバーサル等)からスポーツ、東南アジアの人気番組など幅広い。これらをオン・デマンド形式で配信する。視聴はテレビ、パソコン、携帯、タブレットでき、ダウンロードしてオフラインでの閲覧も可能だ。

料金は、広告が表示される無料プラン、もしくは課金プランがある。課金プランの場合、例えばマレーシアでは、月額10リンギッド(260円)、年額96リンギッド(2,500円)程度。

企業基本情報

起業家情報

代表:CEO兼共同創始者 マーク・ブリッド(Mark Britt)
出身:オーストラリア
学歴:オーストラリアのLPABで法学のディプロマを取得

会社概要

企業価値:不明
サービス提供国:東南アジア、中東、太平洋エリアの22か国
サブスクリプション数: 1,500万(2018年7月現在)
従業員数:500~1,000人
ホームページ:https://www.iflix.com/
合計調達額:2億9,800万ドル

設立までの背景

Iflixは、2014年、連続起業家として知られるCatha Group(※)のCEOパトリック・グローブ(Patrick Grove)氏、マーク・ブリッド(Mark Britt)氏、メディア系に特化した投資企業Evolution Mediaが共同で設立。

ケーブルテレビが普及していない新興国では、映画やTV番組を見るにも著作権侵害が後を絶たない。また視聴者は、生活水準に比して高い値段を払ってインターネットにつないでも動画のスピードが遅く、画質の悪いものを見ざるを得ない場合が多い。

エンターテイメント系コンテンツへの需要は高かったことから、著作権を満たし、低料金で高画質な番組を提供するため、会社の設立に至った。

(※)Catha Groupとは
アジア新興国の各種eコマース事業を手がける。

※参照元
https://www.crunchbase.com/person/mark-britt
https://blog.iflix.com/about/
https://www.soyacincau.com/2018/07/04/iflix-is-now-offering-free-content-in-malaysia/

事業沿革

2015年4月 3,000万ドルをCatcha GroupとPhilippine Long Distance Telephone Companyから調達。マレーシアとフィリピンでの事業スタートを皮切りに、タイにも進出

2015年8月 ハリウッドのメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)社とパートナーシップ提携(提携金額非公表)

2016年3月 ヨーロッパ最大の有料放送事業者スカイ(Sky)社とパートナーシップ提携し、4,500万ドルを調達。インドネシア、スリランカ、ブルネイ、モルジブに拡大

2017年3月  アメリカのメディアグループ、リバティ・メディア等から9,000万ドルを調達

2017年3月 HD画質の動画を配信スタート

2017年8月 アメリカのメディア、ハースト(Hearst)社等から1億3,300万ドルを調達。この年だけでパキスタン、ベトナム、ミャンマー、中東・北アフリカ8か国、カンボジア、ネパール、バングラデシュに拡大

2018年3月 短編動画の自社制作スタジオStudio2:15設立

2018年12月 アフリカ事業を南アフリカ拠点の通信グループEconet Groupに売却し、アフリカから撤退

2019年2月 マレーシアサッカー協会と提携、マレーシアのサッカー200試合以上のリアルタイム配信を開始

2019年4月  吉本興業が出資、シンガポールに合弁会社の設立を発表

※参照元
https://www.iflix.com/images/media/press/MGM_Joins_iflix_as_Strategic_Investor_Aug20.pdf
https://techcrunch.com/2016/03/09/sky-makes-45m-strategic-investment-in-asia-based-netflix-rival-iflix/
https://techcrunch.com/2018/12/21/iflix-africa/
http://www.econetwireless.com/about_econet.php
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000139.000029501.html
https://blog.iflix.com/wp-content/uploads/2018/03/2018.03.29-iflix-Launches-Studio215-Led-by-Digital-Media-Trailblazer-Craig-Galvin.pdf
https://blog.iflix.com/iflix-and-twitter-announce-major-collaboration-for-malaysian-football/
https://www.thestar.com.my/tech/tech-news/2017/03/02/iflix-goes-hd/

事業拡大の秘訣

拡大の秘訣は、新興国の中間層というホットスポットをターゲットにしたことだ。

もともと欧米のケーブルテレビ各社は東南アジアでも事業展開していたが、視聴者は英語を話す富裕層や現地の駐在員が多く、中間層にとっては料金が高い。しかし、彼らでも優良なコンテンツであれば対価を支払う。

そこでIflixは、現地のミドルクラスの視聴者層が動画配信で求めるサービスを充実させた。求められるサービス、それは、ローカルコンテンツとオフライン環境での閲覧である。Iflixはこれらを充実させ、課金プランへの加入数を増やした。

徹底したローカライズ

第一にローカルコンテンツであるが、ひと言で新興国と言っても、言語や文化習慣、エンターテイメントへの嗜好は多様だ。また、国によってはタブーとされているコンテンツがあり、検閲制度を含め規制が厳しく設けられている場合がある。

Iflixでは、それぞれに最適なコンテンツを提供している。検閲に関する規制をクリアし、個々の言語にあわせた字幕や副音声につけて配信している。

設立当初は、欧米のテレビ番組や映画が多かった。しかし視聴者からは、欧米モノよりもローカルコンテンツへの需要が非常に高く、現在ではアジアの映画をいち早く配信するなど地域に根ざした情報発信につとめている。

そして、各国の制作会社と手を組み、オリジナルのドラマやバライティー番組の制作をはじめ、この戦略を今後強める方針だ。

オフライン再生の充実

第二に、オフライン環境での視聴に関しては、モバイルデータの接続やスピードが不安定な新興国ではマストな機能となる。現在加入数字を伸ばしているミレニアル世代は、テレビよりもスマートフォンやタブレットで視聴することが多い。そのため視聴する場所も選ばないオフライン機能は重宝されている。

Iflixでは、アプリをオフラインモードに切り替えることでオフラインの視聴が可能となる。ダウンロードは、ハイクオリティーもしくはロークオリティで選択できる。

オフライン機能そのものは、今や珍しい機能ではない。しかし、こうした機能が月額約260円、年額約2,500円(マレーシアの場合)という破格で手に入れることができ、同業他社と比較した場合のIflixの優越性を確かにしている。

今後の展望

アジア・中東地域は、オーバー・ザー・トップ(OTT、※)セクターへの投資が集中し、中でもストリーミング動画市場の人気は続いている。

Iflixは、設立から短期間で事業を圧倒的に拡大させた。新たに事業展開する国では現地の政府系の金融機関や大手メディア・エンターテイメント系のグループと手を組み、足がかりを確固たるものとしている。

また、ウォルト・ディズニーやネットフリックスの幹部スタッフを、チーフテクニカルオフィサー(CTO)やチーフコンテンツオフィサー(COO)として迎え入れ、経営陣の層は厚い。

こうした業界へのネットワークもあって、欧米のメディア企業からの大規模投資が相次ぎ、成長へのポテンシャルが評価されたといえよう。

しかし、事業拡大は一筋縄ではいかない。2017年には、アフリカでの市場獲得を見込んで拠点を設立したものの、サービスの提供には至らず、翌年末には撤退している。2019年からはアジアでの事業にフォーカスしなおし、売上の倍増を狙っている。

Iflix の競合にはNetflix、Hooq、Hotstar、YouTube、Flipkartが挙げられる。中でも業界最大手のNetflixは、近年、Iflixと同様に東南アジアでのローカル・コンテンツの強化を図っており、競争の激化が見込まれる。

とはいえ、CEOブリッド氏によると、ターゲット層や提供コンテンツの差別化は常に図っており、ネットフリックスはじめ真の競合はいないという。ローカルコンテンツの充実のほか、レコメンデーション機能を強化し、既存ユーザーのデジタル・エクスペリエンスの向上も目指す。

2019年はオーストラリア証券取引所への上場も視野に入れすでに動き始めており、今後の展開から目が離せない。

(※)オーバー・ザー・トップ(OTT)とは
インターネットを通じ動画や音声などのマルチメディアコンテンツを提供するサービスの総称。

※参照元
https://e27.co/iflix-netflix-asia-officially-launches-africa-20170601/
https://www.spglobal.com/marketintelligence/en/news-insights/blog/virtual-multichannel-revenues-projected-to-soar-in-next-five-years
https://www.businessinsider.com/iflix-streaming-service-doubling-down-on-asian-markets-2018-12
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDX09H0K_Q7A810C1FFE000/
https://www.marketing-interactive.com/iflix-to-get-aggressive-with-original-content-commissioning-in-2019/

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