SUNSEAPはシンガポールのスタートアップ会社である。太陽光発電に関連する一連の事業、運用管理と保守点検、エネルギー監査、エネルギー効率診断、また電力の小売りを担う。
サービス概要
ビジネスの軸は大きく2つに分類され、一つは、住宅用太陽光発電システムの提案、もう一つは、商業向け太陽光システムの提案を行っている。
初期投資ゼロでソーラーの設置が可能で、安価な料金設定が特徴だ。シンガポールだけでなく、周辺のASEAN諸国への進出、オーストラリアや台湾の太陽光発電企業とも業務提携を果たした。
Panasonic等の大手企業とタッグを組むことで利益を上げてきており、現在はシンガポールのグリッド式PVシステム(※1)の大半をSUNSEAPが収めている。
従来の太陽光発電では、顧客が太陽光設備を初期投資しなければならなかった。しかしSUNSEAPは、各施設でソーラーパネルを無料で設置をし、そこから発電されたエネルギーを顧客が使用する仕組みになっている。
顧客は使用した電気代を支払うが従来の電気料金よりも安くなる様に設計されている。
また、SunSeap管理している大規模な太陽光プラントから発電された分を顧客に分割販売する事業も行なっている。
(※1)グリッド式PVシステムとは
消費分が供給分を上回ると、余剰電力が電力会社に供給される仕組み。つまり太陽光を通して送電線から送電も放電できる仕組みの事。
※参照元
https://www.businesstimes.com.sg/magazines/the-sme-magazine-mayjune-2018/time-to-shine
企業基本情報
起業家情報
代表:Frank Phuan (Lawrence Wuと共同創始者)
https://thepeakmagazine.com.sg/power-list-2017/frank-phuan-sunseap-group/?slide=9-Oliver-Tan
出身:シンガポール
学歴:Nanyang Technological University (材料工学)
年齢:42歳(2019年現在)
会社概要
企業価値:2億+シンガポール・ドル(2017年5月)
https://jp.enfsolar.com/news/13470/sunseap-raised-s-6-7-million-in-the-latest-funding-round-values
サービス提供国:シンガポールを中心としたASEAN諸国、オーストラリア、中国、台湾
従業員数:不明
ホームページ:https://www.sunseap.com/SG/about/sunseap_group/group.html
推定資金調達額合計: $ 152.3M
グループ会社
Sunseap Leasing
ソーラーシステムを屋上に設置するための長期契約の仲介に焦点を当てている。これらの建物で使用されていない余剰電力は、シンガポールの電力網に転送される。
Sunseap Energy
余分な電力を顧客に売る小売部門である。
Sunseap International
カンボジア、タイ、フィリピン、インド、マレーシア、オーストラリアに拠点があり、海外事業を担っている。
※参照元
https://thepeakmagazine.com.sg/power-list-2017/frank-phuan-sunseap-group/?slide=10-Jeffrey-Tiong
事業沿革
ー2011年
- 会社創立
- 270kWp初の商業用ソーラーリースプロジェクトが受賞。
ー2012年
- マレーシアでソーラーPPAを締結。
ー2013年
- オーストラリアで事業を立ち上げ
- Goldman Sach社より資金調達
ー2014年
- 42MW大規模HDBプロジェクトが受賞
ー2015年
- インドでSolar Farmプロジェクトを獲得
- カンボジア、タイ、ベトナム、フィリピンでプロジェクトを開始
- Apple社とLandmarkオフサイトPPAを締結
- DBS銀行からの資金調達施設によって、シリーズBのエクイティファンド調達を完了
ー2016年
- インドで140MWのソーラーファームプロジェクトを獲得
- 世界最大の港を拠点とする太陽光発電施設の完成
- カンボジア初のソーラーファームプロジェクトを獲得
- タイに合弁事業を設立
ー2017年
- フィリピンで最初のSolar Farmプロジェクトを獲得
- 台湾に事業所を設立
- UOB銀行からの資金調達
ー2018年
- InfraCo Asiaと共同でベトナムのソーラープロジェクトへ投資
- 史上最大規模のSolar RECをマイクロソフト社と契約
- 中国で最初の屋上プロジェクトを完了
- ベトナム最大のUSD1億5000万のソーラーファームの承認を受け
※参照元
https://www.sunseap.com/SG/about/sunseap_group/milestones.html
設立までの背景
経営者の背景
“利益を追求することを超えて、われわれは太陽光発電で世界をよりよい場所にしたい”と述べるのは、共同創始者であり、社長のPhan氏。
2001年、大学卒業を機に、彼の父の会社で、ソーラーパネル製造業であるSunseap Enterprisesへ入社するも、経営スタイルが合わずに1年で退社
2006年に父の会社へ戻り、父親からソーラーパネルを買い、設置する代わりに電力サービスを売るという新しいスタイルを確立。
2011年に、Lawrence氏とSunseap Leasingを設立するまで、自治体へ4年間独自のアイディアを売り込んだ。「ソーラーパネルを売って一時的な利益を生み出すよりも、太陽光発電を供給することによって経常利益を生み出すほうが理に適っていた。」とFrank氏は振り返る。
「私は暑い日が一番好きなんだ。晴れの日は、会社が一番儲かっている(太陽の光が電気を生み出している)ってことだからね。」
Frank氏は、伝統的な石炭による火力発電の電気よりも、Sunseapの太陽光エネルギーの方が、価格を20%抑えて提供できると確信している。
※参照元
https://thepeakmagazine.com.sg/power-list-2017/frank-phuan-sunseap-group/?slide=9-Oliver-Tan
市場背景
シンガポールは、発電に使われる天然資源が産出できない国である。
国内のエネルギー供給のための天然ガスや石油は、周辺国からパイプラインによって、輸入してきたが、パイプラインがストップしてしまえば、国内のエネルギー供給が止まり、経済が混乱するリスクを抱えている。
太陽光のようなクリーンエネルギーは、シンガポールの事情に相性が良買った。
サービス詳細
サービスの中身
- 顧客の太陽光が月間1000ユニット発電。
- その内800ユニットを消費し、残りの200ユニットが、国のグリッドへ送られる。
- 国のグリッドへ送られた200ユニットは、REC(※1)としてカウントされる。
- 200ユニットが、国のクリーンエネルギー消費量とみなされる。
(※1)REC (Renewable Energy Certificate)とは
再生可能エネルギーによって得られた電力の環境付加価値を、取引可能な証書に(=証券化)したもの、またはそれを用いる制度を指す。再生可能エネルギーに対する助成手法の一つである。グリーン電力制度、グリーン証書取引制度などとも呼ばれる。
※参照元
https://www.hardwarezone.com.sg/feature-how-sunseap-and-starhub-get-solar-power-your-home-even-if-it-s-rainy-day
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%A8%BC%E6%9B%B8
実際の利用方法
- まずは、電話またはe-mailで相談
- 過去1か月分の電気代をSUNSEAPへ提供する。
- SUNSEAPがベストなプランを提案。
- サービス利用開始。
セールスポイント
- 初期費用無料
- 太陽光発電で、すべての電気をまかなうことも可能
- 電気代が平均-20%(電気代を最大限抑えるプランを提供)
- 電気料金の変動に関係ない固定料金
SUNSEAPのマネタイズ
SUNSEAPは無料で設置した太陽光の資金回収をしなければならない。太陽光から発電した電力を顧客が今より安い価格で支払う仕組みとなっている。
通常、原価回収までに8-10年を見込んでいる。月に1000ユニットを太陽光で発電でき、そのうち800ユニット分使うと、その分顧客が電気代として支払う。
残りの200ユニットは、他の一般電気とまじりあって、国の送電線(グリッド)へ運ばれ、この分は、誰でも使うことのできる電気となる。
SERIS(シンガポールの国立太陽光研究所)が月に一度、SUNSEAPがどれくらい国の送電線に電気を送っているかを計算し、その分RECが発行される仕組み。
つまり、SUNSEAPは、800ユニット分の電気代+200ユニット分のRECの儲けがある。
ソーラーの初期費用を完全にゼロにしたのが拡大の秘訣
最高責任者のPhuan氏は、会社創業当初から、「現状の天然ガスによる電気の値段と、太陽から得られるエネルギーの値段は、同価格帯でなければならない。」と分かっていた。
これまでの太陽光発電は、顧客が先に設備投資をし、そのエネルギーが使えるまで、時間とコストを要していたが、「成果が得られるのはいつかわからないのに、誰もお金を先に使いたくない。」のは明白だ。
また、他の国と違い、シンガポールはクリーンエネルギーに対する補助金も奨励金も得られないので、太陽光設置の初期費用が高い。
そこで、初期費用をSUNSEAPが支払い、顧客の太陽光設置リスクをゼロに下げることにした。結果、顧客が支払うのは消費された電気代だけでよくなった。
https://www.businesstimes.com.sg/magazines/the-sme-magazine-mayjune-2018/time-to-shine
今後の展開
最新のニュースによると、SUNSEAPは、InfraCoAsia(※2)と共同でベトナムの大規模なソーラープロジェクトを完成させた。
掛かったコストはUS$1億5000万。SUNSEAPは、このようなプロジェクトが、将来の投資家のためのベンチマークとして役立ち、商業的な実行可能性、開発への影響、達成可能な利益の実証となることを願っている。
(※2)InfraCoAsiaとは
低所得の発展途上国および南・東南アジア諸国のインフラを改善するプロジェクトに資金提供をしている。