WashBox24は、タイ発祥のランドリーサービスを中心に物流全般を支えるスタートアップである。現在はタイ、シンガポール、マレーシアで事業を展開している。
サービス概要
WashBox24は、タイ発のスタートアップである。ユーザーはアプリケーション上で、WashBox24の集荷ボックス、または自宅で洋服の集荷を依頼する。アプリ内で集荷ボックスの場所を簡単に調べる事ができる。24時間利用可能である。


その後WashBox24がクリーニングを行い、翌日までに洋服を受け取る事ができる。洋服はいつでもアプリ上で追跡可能だ。
企業基本情報
起業家情報
代表:Bond Thaiyanurak
出身:バンコク(タイ)
学歴:タマサート大学、チュラーロンコーン大学(MBA)
年齢:39歳
会社概要
企業価値:不明
サービス提供国:タイ、シンガポール、マレーシア
従業員数:11-50人
ホームページ:https://www.washbox24.com/th/index.php
推定資金調達額合計:31,000ドル
事業沿革
2013年3月 WashBox24設立
2014年8月:Potential VC、Northstar Venturesから31,000ドルの資金調達
2015年7月:英国のLaundappに買収(資金非公開)
※参照元
https://www.crunchbase.com/organization/washbox
市場背景
洗濯機の普及
新興国のフィリピン(タイやマレーシアも)では日本の様に一家に一台洗濯機がある訳ではない。洗濯機は限られた富裕層が持つものだ。またコインランドリーができたのも1990年代後半と言われており、人々は未だに手洗いが主流だ。
また洗濯機を家庭に置く様に建物の設計がなされていない。日本だと当たり前に一戸建て、マンションを問わず、洗濯機置き場と給水口、排水口、がどの建物にも設けられているが新興国ではその様な設備が付いていない場合が多い。
※一般的に、1人当たりのGDPが3000ドルを超え始めると、家電製品や自動車などの消費が加速すると言われている(フィリピンは丁度3000ドル前後)。
家事代行の文化
フィリピンでは共働き夫婦は当たり前にナニー(ベビーシッター)を雇っている。家事も同様で、日本の様に夫婦間で役割分担をするのでなく、ハウスキーパーなど外に頼むのが一般的だ。
この様な文化的背景もフィリピン含めた東南アジアに普及を促進した要因と考えられる。更に最近の東南アジアの経済は急成長をしており、共働きや単純な労働時間が増えたのも背景にあるだろう。
設立までの背景
上記で述べた様な市場背景からクリーニングのスタートアップはこれまで多数存在していたが、参入しては撤退を繰り返していた。
クリーニングという特性上、顧客は安い業者を選定する為、価格競争となり利益があがらない。つまりバリューチェーンに付加価値を付ける事がほとんど不可能だった。
更に宅配を利用してもクリーニングの手続きは煩雑かつ紛失する事もあり、安全性にも問題があった。また、多くの店は昼間の時間帯しか空いておらず、仕事をしている人にとっては不便であった。
そこで彼は預かった洋服のトラッキングシステムを構築し、どこにでも、いつでも預ける事ができるロッカーを提案し、2013年5月にWashbox24を設立した。
ロッカーの登場により、顧客自らが洋服を持ち込む半分セルフサービスの様な形を定着させて、コストを抑えた。更に顧客はロッカーに24時間洋服を預ける事が可能となった。
※参照元
http://seas100.com/seas/washbox24-thailand-ltd/
https://e27.co/after-my-laundry-boxs-demise-thailands-washbox24-has-stepped-in-to-fill-the-void-20161006/
サービス詳細
洋服を預ける
ユーサーはバンコク内にあるWashBox24のロッカーをアプリ上で検索し、洋服を預ける場所を確定する。支払いが済むとロッカーに洋服を入れる為のピンコードが届き、それを入力する事でロッカーの扉が開きドライバーが集荷に来る仕組みとなっている。
洋服を受け取る
その後、クリーニングが終わり、ロッカーに荷物が届くとアプリケーションに通知が届く。または自宅で受け取る事もできる。
利用料金
料金は下記にそれぞれのアイテム毎に定められている。
https://www.washbox24.com/th/pricing.php
※1バーツ(Baht)=約3.5円
支払いについて
基本的には前払いで、アプリ上でチャージを行い、クリーニングが行われるたびに自動的にチャージした金額から引かれていく仕組みである。
しかし、後払いも選択が可能だ。その場合、クリーニング完了通知が届いた後にコンビニエンスストアなどで支払いを済ませてロッカーのピンコードを受け取る事により、洋服を受け取れる仕組みになっている。自宅で受け取る際には、ドライバーに直接支払う方法もある。
タイでのサービス拡大
WashBox24がロッカーのアイデアを普及させた後で、クリーニング以外にも様々な可能性を感じる様になった。そこで同社はタイのバンコクでTescoやBig Cなどのスーパーマーケットと提携を行う様になった。
これでランドリーサービスだけでなく、日用品から食品まで様々なアイテムでロッカーを使う様になった。またECで買った商品を保管しておいたり、郵便物などをロッカーに入れておいたり、使い方は多種多様だ。
※参照元
https://e27.co/thailand-box24-beyond-laundry-logistics-hardware-industry-20170301/
今後の展開
香港にある野村インターナショナルは、東南アジア6カ国の小包配送の市場規模は2015年から2020年で2倍以上の75億ドルに登ると見込んでいる。これには経済発展による消費の拡大とそれを後押しするECの普及が考えられる。
2011年に楽天が東南アジア4カ国でEC事業と、独自のバイク配達サービスを展開したが、2016年に閉鎖した。またアリババやアマゾンなどの大型プレイヤーも本格的に東南アジアへの物流ビジネスへの参入も考えられ、今後更に競争が激化してゆくだろう。
※参照元
https://asia.nikkei.com/Business/New-delivery-options-brighten-SE-Asia-s-e-commerce-outlook