Abivinはベトナム発のスタートアップ企業である。
サービス概要
Abivinは企業向けインテリジェト・ソフトウェアを提供する会社である。AIを用いた物流最適化ソフトウェアの開発・販売を行なっている。
主なプロダクトはビックデータ運用の「Abivin vDoc」と、AIロジティクス最適化ソリューション「Abivin vRoute」である。
Abivin vRouteは以下の動画のように、行き先や経由地を登録しておくことで、その時間の渋滞状況などを考慮した最適な流通経路を提案してくれる。
このソフトウェアで、物流コストの30%削減やエンドツーエンドの物流プロセスのデジタル化が可能になった。ベトナムが抱える物流コスト高問題に役立っている。主な顧客企業はP&G(※1),Habeco(※2)などがある。
(※1)P&Gとは
世界最大の一般消費財メーカー。日本では洗剤・家庭用品・オムツなどを
手掛ける。拠点はアメリカ合衆国オハイオ州。
(※2)Habecoとは
ビア・ハノイ。ベトナムを代表するビールブランド。
実績
Abivinは 2019年5月にサンフランシスコで開催された「スタートアップワールドカップ2019」にて、優勝を果たした。優勝賞金としてAbivinは約1億円を手にした。
この催しは世界35の国と地域から集まったスタートアップ企業がプレゼンし、最も優秀な技術やセンスを持った企業が表彰される
企業基本情報
起業家情報
代表:Long Pham
学歴:2008年 アビー大学(ケンブリッジ単科大学) 学士 (物理・数学)、2012年 ブリストル大学 修士 (機械学習・コンピュータ)、2011年 ケンブリッジ大学 博士 (コンピュータサイエンス)
経歴:2012-2013年 Google エンジニア、2013-2014年 ARIMO エンジニア、2015年~Abivin CEO
会社概要
企業価値:不明
事業所:シンガポール・ベトナム
従業員数:10-50名
ホームページ:https://www.abivin.com
事業沿革
- 2015 Abivinの主力プロダクトであるAbivin vDoc・Abivin vRoute で収益を得る
- 2017.4 ベトナム政府とフィンランド政府の「イノベーション・パートナーシップ・プログラム」から約1100万ドルの資金提供を受ける
- 2019.5 スタートアップワールドカップ2019にて優勝。賞金約1億円を受け取る
サービス
- Abivin vRoute (物流最適化ソフトウェア)
- 基本料金 $10.00 / month
- サポート オンライン、24時間365日対応
市場背景
Abivinが成長した背景には、ベトナムの物流コスト高問題が背景にある。2014年時点でベトナムにおける物流コストは、GDPの25%に相当していた。他の新興諸国が10~13%と比較して高い。
この問題の原因は輸送インフラの未発達であり、ここ数年の輸出入貨物の急増にも支障をきたしている。
また、世界銀行が2014年に発表した「物流パフォーマンス指標(LPI)報告書」によると、物流環境は改善されているものの、コンテナ輸送に耐える道路が少なく、鉄道設備の改善が遅れており、世界基準に達した港が少ないのが問題だと指摘した。
ベトナムの急務は輸送の効率化であり、そこを技術で提案したAbivinが今成長しているのだと思われる。
今後の展望
Abivinが優勝した「スタートアップワールドカップ2019」を運営するPengasus Teach Venturesの代表パートナー兼CEOは、Abivinに向け以下のように述べた。
「彼らはイノベーションには限界がないこと、どの国でも世界トップレベルで競争できることを証明してくれました。彼らの成功は世界中のスタートアップにとって良い例となった。」
また、優勝したAbivinのCEOは、「他の東南アジア諸国、日本への進出を視野に入れている」と話す。高い質を誇るプロダクトと顧客との良好な関係性を保つ企業精神は、様々な企業から高い評価を受けている。